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97話 暁の刃 其の2 完

 ――――月日は流れ、気づけばライドは十九歳。冒険者になって四年が経過していた。

 様々な困難を仲間と乗り越え、彼らは順調といえる歩みでBランクまで駆け上がった。


 ライドはいつものように掲示板を見つめ、仲間たちに提案した。


「なあ、俺たちもBランクになったんだし、そろそろ護衛の依頼もやってみねえか?」

「護衛か。だがここ最近は、レムニア平原の魔物たちが活発になってるって聞くぞ」

「この辺りじゃ見かけない魔物が出たって話もあるし、もう少し研鑽を積んでからでもいいんじゃないか?」

「私も、覚えたい魔法もあるし来年あたりが良いと思う」


 ライドの提案に、三人の乗り気ではない返事が続いた。

 だがライドは引かなかった。


「Aランクを目指すには実績が必要だろ? 俺は二十歳までにAランクになりてーんだ!!」


 そして俺もダンジョンの探索を――――

 ライドが読んでいた冒険譚の筆者である主人公は、二十歳で難解なダンジョンを探検し、魔物と熾烈な戦いを経てレアアイテムや富を手に入れ、その成果を認められてSランクへと昇格していた。


 俺も、早くああなりたい。

 しかし、Aランクにならないとダンジョンへの出入りは許可されない。


 ライドは、自分が冒険者を目指すきっかけとなった主人公と自分を重ね合わせていた。

 そしてなにより、Sランクの冒険者にもなれば大手を振って父や母に会いに行ける。認めてもらえる。

 それだけ、Aランク以上の冒険者というのは下手な貴族並みの発言権も認められ、世間からも支持をされる存在なのだ。


 子爵家の三男として生まれた自分の未来は、分家として小さな領地でも与えられ慎ましくも平和に過ごすか、父の事業でそれなりのポジションにつき、家督を継ぐ兄たちの補佐として生きるしかなかった。


 最悪は、他の絶家(跡継ぎのいない家)への養子入りさせられるか……


 ライドは脇役に等しい存在から、冒険譚の英雄たちのような主人公になりたかった。その一心で、何不自由ない生活を捨て家を飛び出したのだから。


 ライドは、わがままとも呼べるほどの熱意で三人を納得させ、護衛の依頼を引き受けた。


 ――――しかし、その選択は彼らの運命を引き裂くこととなる。




 運命の日、朝五時過ぎ。


 四人の姿は街の外の農村部にあった。依頼主とはここで待ち合わせの予定だからだ。

 今回の任務は、商人五人と馬車二台をティーレへ護衛すること。

 順調にいけば片道一週間ほどの旅路だ。


 重い責任を伴う護衛任務は、駆け出しから卒業した証。ここから俺たちの本当のキャリアが始まる。

 ついにここまで来たんだ。と、ライドは高揚感で身を震わせた。


 初日の道中。

 その日は想定したよりも魔物との遭遇が少なく、というか、一匹とも遭遇することなく、日没を迎えようとしていた。


 今思えば、あれは嵐の前の静けさだったのだとライドは思う。


 初日ということもあり、ライドたち暁の刃は少し早めに歩みを止め、川沿いの岩場を野営地とすることにした。


 日も暮れていき、焚火の明かりが辺りを照らし始める。


「みなさん、これはうちの商品でして。是非召し上がって精をつけてください」

「干し肉と腸詰めですか。ありがとうございます」

「うちの干し肉はただの保存食ではなく、特殊な熟成方による柔らかさが売りなんです。軽く火を通すとよりおいしいですよ」


 旅も順調。雰囲気も良し。

 ライドは満足げな顔を浮かべ、エールを口へ流し込んだ。生ぬるいが、今のライドにはどんな酒よりも格別に感じた。


「ねえライド、護衛中なんだからやめときなさいよ」

「わかってるって。――――かぁ!! うまい!!」

「仕方のないやつだ」


 明日からの経路を食事を取りながら話している一行。その時、リッツが声を上げた。


「あれ?」

「どうした?リッツ」

「あそこに岩があった気がしたんだけど……」

「見間違いか気のせいじゃないのか?」

「ううん。今日は月が綺麗だから、見張りの時にあそこで眺めようかなって思ってたの。……気のせいじゃない」


 その直後、四人は身体を硬直させた。

 突如聞こえ出した岩が擦れるような耳障りな音。地面に伝わる微かな振動。


「馬車を囲んで陣形を取ろう」


 ディックは四人に聞こえる程度の声量で言った。

 四人は息を殺して五感を研ぎ澄ました。


「どうかなさったんですか?」


 馬車から商人の一人が顔を出した。


「何かいます。私たちがいるのでご安心を」

「え!? な、なにかって!?」


 商人の大きな声と同時に、周囲に異変が起こった。

 熟練の冒険者なら、依頼主を不安にさせるような不用意な発言や行動はしなかっただろう。

 だが、歳も若く未熟な彼らにはその経験値が足りなかった。


「気をつけろ! 複数いるぞ!!」


 戦士のエイゲルが声を張り上げた。

 岩だと思っていた周囲の塊が、ゴリゴリと音を立てながら一斉に動き出した。


「……おいおいマジかよ!!」


 ライドは斧を構え辺りを見回した。


 馬車はすでに囲まれていた。しかし、数メートル離れた場所にある焚火の明かりだけでは、それが何者なのかを掴むことはできなかった。


 ゴリ……ゴリゴリゴリ。

 岩の軋む音が激しくなり、黒い塊が突如として襲い掛かってきた。


「うおっ!!」


 ディックはその何者かの一撃を、地面で受け身を取りつつギリギリで躱した。

 予備で集めていた太めの木の枝を焚火に突っ込み松明(たいまつ)変わりにし、辺りを照らすディック。


「こ、こいつらは!!」

「う、うそでしょ!?」


 照らし出されたそいつらは、岩のような甲羅を纏い、身の丈百八十を超えるディックと同じくらいの巨大なハサミを持った化け物だった。


 魔物に詳しいライドが、その姿を見て瞠目した。


「ぐ、グラナイト……クラブ」



 それは、読みふけった冒険譚にもたびたび出てきた魔物だった。


 本来は川の上流域に生息し、谷や山の岩場をテリトリーとする魔物。厄介なのはその硬い体と、集団で軍勢を作り襲ってくる習性。


 グラナイト・クラブは、怪しく口器を蠢(うごめ)かせ、ブクブクと泡のような唾液を吐きだした。


「こ、こいつらの討伐ランクはなんだっけ!?」

「確か……AからSランクパーティ推奨だったと思う!」

「くそっ!! どうするライド!!」


 ライドは呼気を荒くして必死に脳を動かした。

 一体なら何とかなるかもしれないが、この数では戦っても勝ち目はゼロだ。

 かといって、囲まれていて逃げ場もない。


 なんとか逃げる隙を。


 隙を。

 

 隙を。



「うわああーーーーーッッ!!!!」


 エイゲルの悲鳴が響き渡った。


「え、エイゲルッッ!!!!」


 エイゲルは足を巨大なハサミで挟まれ、宙づりにされた。


「あ、足が!! は、離せこの野郎ッ!!!!」


 エイゲルは必死にグラナイト・クラブの腕に剣を打ち付けた。


「リッツ!! 魔法でエイゲルを援護するんだ!!」

「は、はい!!」


 水属性を得意とするリッツは、明らかにグラナイト・クラブとの相性は最悪だった。

 まさか平地、平原で水属性の魔物と戦うことなど想定外だったため、火属性の魔法もまだ練習中であり、戦闘で使えるレベルにはなかった。


 しかし今はそんなことは言っていられない。けん制だけでも出来ればいい。

 そう考え、リッツはグラナイト・クラブに水の刃である《ウォーターカッター》を放った。


 しかし、その硬い甲羅はびくともせず、水の刃は明後日の方向に弾かれてしまった。


「うそッ!! それなら――――」


 リッツは杖を両手で握り、魔力を集中した。


「水は流れ、水は集い、水は力となる。無窮の水脈よ、我が意に従い、我が敵を穿つ一撃となれ――《ハイドロカノン》!!!!」


 次にリッツは、水を砲撃のように撃ち出す中級魔法を放った。


 水の砲撃と接触した箇所の岩が砕け散り、魔物はよろめいた。


「やったか!?」


 ディックの声も空しく、グラナイト・クラブはただよろめいただけだった。

 そして砕けた背中の岩も、その辺の石などが集まっていき、修復されていく。


「そ、そんな!!」

「なんだとっ!?」


 やはり、属性の相性が悪い魔法ではダメージは通らない。

 じゃあ剣と斧で戦うしか。


 そうライドとディックが思った時、断末魔が辺りに響いた。


 声の主はエイゲルだった。

 エイゲルは、挟まれていた足を切断され、もう片方のハサミで胴体を挟まれていた。


 ハサミの力はすさまじく、着ていた鎧もその圧力に耐えられず、ギシギシと耳を覆いたくなるような金属音を上げて形を変えていく。


「うっ……うぶおおおーーーーーー!!!!」


 声にならない声を上げ、エイゲルは空を見上げた。そして、


「ゴボァッッッ!!!!」


 大量の血を吹き出し、エイゲルの頭と手は力なく垂れた。

 エイゲルの胴体は、鎧ごと押しつぶされ十センチもないほどの厚さに変形していた。


「え、え……エイゲルーーーーーーー!!!!」


 ライドの声が空しく響き渡った。

 絶命したエイゲルは、バラバラに引き裂かれ、血の臭いに群がるグラナイト・クラブたちの餌食となった。


「に、逃げるんだッッ!!!!」


 ディックが声を上げた。

 逃げるのなら、エイゲルに群がって隙が出来ている今しかない。


 逃げの体制を取ったその時、今度はリッツが捕まってしまった。


「い、いや!! 離して――――!!!!」


 悲痛な叫びが再び辺りを包み込む。


「く、クソッたれ――――!!!!」


 ライドが飛び出し、それを見てディックもライドのあとを追った。


 斧を何度も叩きつけるライド。しかし、表皮にある岩が欠ける程度で甲羅には傷一つつかない。

 逆に、ライドの斧の方が刃を損傷していく。

 ディックも剣を振るが、ライドと結果は同じだった。


「テメェ!! リッツを――――」


 記憶は定かではなかったが、なにか大きくて硬いものが当たった感触があった。

 海の浅瀬で波に巻かれ、方向すらもわからずに弄ばれるように、ライドは中空を踊りながら吹き飛ばされ馬車に激突した。


 何が起きたのかわからなかった。頭がグワングワンとして思考が定まらない。

 わかるのは、左足と横腹に大きなダメージを負ったということだけ。その痛みだけが唯一理解できたことだった。


「あ、あんた大丈夫かい!?」


 商人たちに声をかけられ、なんとか状況を整理できるようになってきた。


 外からはディックの勇ましくもひっ迫した声が聞こえる。

 グシャグシャになり覆いかぶさった幌から顔を出すと、ディックは膝を付き、リッツは……

 すでに血にまみれながら、口をパクパクとさせて俺に向かって手を伸ばしていた。


 ライドは震えた。

 武者震いなどではない。今にも失禁してしまいそうなほどの恐怖を覚え、震えていた。


「お、おいあんた! わ、私たちはどうしたらいいんだ!? 仲間も死んでしまうぞ!」

「……ど、どうしたらって」


 ライドは返答に窮した。

 それどころではなかった。ライドは植え付けられてしまった自分の恐怖心と戦っていた。


 ディックはついに、フラフラとぐらつき倒れ込んだ。しかし、彼は最後まで剣を魔物に向け、戦っていた。


 グラナイト・クラブの飛び出した目がギョロリとこちらに向いた。


「ひ、ひいッッ!!!!」


 ライドは幌を被り、身を隠した。


「お、おい!! あんたなにしてるんだ!!!!」


 動けば動けなくはなかった。


 ただ……怖かった。


 恐怖で頭が錯乱しそうだった。


 今すぐにでもこの場から逃げ出したい。


 ライドは、完全に恐怖に飲まれてしまっていた。戦意は完全に削がれ、幌に隠れながら、自分が助かるにはどうしたらいいのかという思考だけが頭を駆け巡っていた。


 外から「グエ!!」というリッツのものと思われる声が聞こえた。

 おそらく……あれはリッツが絶命した声。


 ライドは耳を覆い、幌の中で丸くなった。

 何度も何度も神に祈った。助けてくださいと。何でもしますと。



 ――――しばらく恐怖で震えていると、地に響く振動が治まったのを感じた。


 恐る恐る幌から顔を出すライド。


 ライドは呆然とした。


 グラナイト・クラブは掃討され、傷を負った四人の男女が商人たちと話していた。

 彼らは……


 腕輪を確認した。この人たちは、同じくエンドラから王都への護衛任務で向かっていた、Aランクパーティの者たちだった。


 ディックはその中の一人に抱えられ、何とか歩いている。意識もあり無事なようだった。

 しかし、エイゲルとリッツは……


「おい君! 大丈夫か!?」


 ライドもそのAランクパーティに救出されることになった。

 商人たちの冷ややかな目が刺さる。


 しかし、それでもライドは、自分が助かったという安堵の方が勝ってしまっていた。

 自身もそれを自覚していた。

 冒険者失格だなと、ライドは俯いた顔を上げることが出来なかった。



 ――――エンドラへと救助隊に搬送されたライドは、施療院で十日間を過ごした。


 なんとか歩けるくらいには傷も癒えた。ライドはその足でギルドへと向かった。


 ギルドの扉を開くと、ライドは中にいた者たちの視線を浴びた。

 ライドは、そいつらの表情で全てを悟った。


 嘲笑も冷笑もない、まるでゴミでも見ているかのような目。

 以前は陽気に声をかけてきたやつらも、目を細め視線をそらした。ライドは、誰にも相手をされなくなった。


 おそらく、あの商人たちが喧伝しまくったのだろうとライドは考えた。

 悪いのは全部俺だ。自分のわがままで仲間を死なせてしまい、あんな醜態をさらしてしまった自分自身にライドは怒り、ぶつけ所のないその怒りは、涙に変わって涙腺からあふれ出した。


「クッ………… くそぉぉぉーーーーー!!!!」


 ギルドを出たライドは、地面に崩れ落ち地面に拳を打ち付けた。

 流れ出る血を見つめながら、ライドは故郷に帰ろうと決めた。


 モルノへの護衛なんかいらない。死んだらそれでいい。それだけの価値しか俺にはない。

 ライドはうな垂れながら街の外へと向かった。


「おいライド!!」


 農村部に差し掛かると、後ろから声が聞こえた。

 この声は、ディックだ。


「どこいくんだよ」

「……どこでもいいだろ。俺にかまうなよ」

「逃げるのか?」


 その言葉にライドは勢いよく振り向いた。

 目線の先には、松葉杖をついたディックが立っていた。


「逃げるのか?」

「どっっ!! …………どうすりゃ……いいんだよ」

「……よく考えて自分で決めろ」


 そう言い残して、ディックは街へと向かって帰って行った。



---



「それで、そのあとはどうしたんです?」

「そのあとは……日が暮れるまで立ち尽くしていたと思う。で、決心したんだ。ここで逃げたら本当にただのクズ野郎になっちまうってな。そして、仲間はもう持たないとも決めた。持つ資格がないってな」

「それで、今までローナーを続けていたのね」


 ライドにも凄惨な過去があったんだな。

 だがライドはもう一度仲間を作ることを決心した。それは、ライドにとっても新しい一歩を踏み出す勇気が生まれたということだ。


「ごめんなさい。私、あなたのことただの冷酷で軽い男だと思ってた。噂だけ聞いて」

「レイナ嬢、良いってことよ……俺が情けないクズだったってことは間違いないんだからよ」


「そんなことはないぞ、ライド」


 後ろから声が飛んだ。

 そこには、ディックが立っていた。


「ディ、ディック……」

「俺もマルテスの戦いを見せてもらったよ。そして、仲間にしてくれと懇願するライドを見て俺も決心した」

「け、決心てなんだよ」

「――――俺も仲間に入れてくれないか?」


 ディックの唐突な言葉に、全員が驚きを隠せなかった。

 マルテスもライドも固まってしまっている。


 これに関しては俺は部外者だ。成り行きを見守ることにしよう。

 ライドは、驚きつつも神妙な顔をしている。マルテスは――――


「あ、あわわわ……Sランクの、あの炎剣のディックさんが……ぼ、僕の仲間に……」


 驚きのあまり混乱して目を回している。だめだこりゃ……


「な、何でここなんだよ。俺なんかと……もう組みたかねーだろ」

「いいや、俺はお前がもう一度立ち直るのをずっと待ってた。四年もだ! 待たせやがって」

「待ってた!? な、なんで……」

「俺は成り上がろうとギラギラしたお前が好きだった。そんなお前に引っ張られて、俺も頑張ってこれていたんだ」

「ディック」

「あの時は、確かにお前は身勝手だったかもしれない。だが、お前が加勢してもどの道どうしようもなかった。逆に、お前が威勢よく飛び出していたら、俺もそれに引っ張られて二人とも死んでいた」


 ライドはまだ煮え切らない表情をしている。

 気持ちはわかる。自分の身勝手な行動でパーティが瓦解したうえに、片やかつての相棒が自分の目指していたSランクにまでなっているんだ。


 気まずさや悔しさ、いろんな感情が入り混じって素直になんかなれないだろう。


「それに!」


 ディックはライドの肩をバンと叩いた。


「もうパーティは解散してきてるんだ。意地でもこのパーティに加えてもらうからな」

「な! 解散してきたって、マジかよ」

「ああ。お前が復活するなら、あんな向上心もないイエスマンだらけのパーティなんか不要なんだよ」

「不要ってお前……」

「今度は俺がお前を引っ張ってやる。父親に会うためになるんだろ? Sランクに」

「――――お、おうよ! 仕方ねーからなってやらぁ! Sランクになんかちょちょっとな!」


 どうやら話はまとまったようだ。

 棚から牡丹餅とでもいうのか、Sランクのディックが加わるならこのパーティは存外化けるかもしれない。


 剣気を自在に操る、Aランクにも勝利した剣士マルテス、Aランクで鑑定持ちウィザードのメアリー、Bランクでお調子者のライド、そしてSランクの炎剣のディック。


 バラエティに富んでいてなかなかの粒ぞろいだ。

 俺は、この有望な若者たちの成長が楽しみで、幸ある未来を願わずにはいられなかった。


「それはそれとして、マルテスとメアリー嬢はディックの加入に異論はあるか?」

「ぼ、僕はディックさんが入ってくれるなら光栄というか心強いというか! ありがたいです!」

「私も別に異論はないわよ」

「そうか、じゃあこれからよろしく頼む。――――ところで、このパーティに名前はあるのか?」

「名前ですか。まだないですけど」

「じゃあ、<暁の刃>ってのはどうだ? なあライド」

「お、おいディック。それはちょっと……」

「――――いいですね、暁の刃」

「お、おいマルテス。それはさっき話した通り以前の――――」

「良いじゃないですか、暁の刃。僕は気に入りました」

「マルテス……」

「ライドさんの再起も込めて、僕たちは今日から暁の刃と名乗りましょう!いいですよね? みなさん」

「私はなんでもいいわよ。かっこいいんじゃない? 暁の刃」

「じゃあ決まりだな」


 かくして、後にエンドラを代表する冒険者チームへと成長する、<暁の刃>は四年の時を経て再び結成された。

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