タイトル未定
――――――彼女は告げ続ける。その名前は『上限の力』
私達は、真ん中が出っ張っている中央凸型の平面的建物。正面の中央突出部は「ここは祭り事での部屋よ。大切なときに使われる場所」と呼ばれ、普段蓋をするように閉ざされている事を教えられる。彼女の呼吸に合わせるように、エルドラは手前の引き分け戸を音をたてて開けてゆく。
ミライと名乗る女性の言葉通りに、部屋は暗く差し込む光は開いた扉によってのみ部屋の内情を教えてゆく。光の差し込みを確認したように、ゆっくりと歩く彼女の姿を追うようにして歩幅を合わせてゆく。彼女が向かう先に、布か何かで覆われているかすかに明るい大きな物が見え隠れする。
あまりにも暗すぎるのかこの部屋の形を思うように見えなかった。見えずらい足場は、床板に躓くように足を引っかけしまいこけてしまいそうになる。
目の前の女性に軽く後ろからぶつかり「ごめんなさい!」慌てて離れながら自分の体制を戻そうとする。視線の場所に困りながらもただ目立つソレに目が向かってしまう。
それは、この暗い部屋の中で部屋で一番目を引く大きなものはわずかに見えやすい。
「大丈夫?勝手がわからないから余計に見えずらいわね。エルドラ左右の扉もお願い。」
「ありがとうございます。それにしても、あれ大きいですね」
彼女の言葉に続く。左右を締め切る引き違い戸を音をたてながら奥へと押し続ける。部屋の内部へと明かりを大きく取り入れてゆく。この大きな祭の事の部屋で異様な気配を放つ、その大きな物の姿を直視する。
この部屋で異様な存在感。天井に向けて大きく伸びてゆくソレは円状に切られて空けられる形で土から生えている。まるでこれのためにこの場所があるようにそれは布をかぶっている。
彼女ははじめからここに連れてくるように仕向けていたように感じた。
「さて、話なのだけど」一呼吸をした彼女は布の前で立ち止まり服を勢いよく揺らしながら振り向く「少し、長くなるわよ?」彼女のその手は布に触れていく。
「でもその前に……」彼女は手に掴んだ布を持ったまま「この大きな布にかぶった物。あなたはさっき大きいですねと言ったのはこれ?」彼女の疑問の先はこの布に対して集約してゆく。
「えっと、そうです。これだけさっき見えていたので」
「見えていた?」彼女は布越しの物に対して見つめなおすように首が向き続けている「これだけが……」視線は戻り「これが何か予想はできるかしら?」彼女は少しづつずらしてゆく布は背中かから手前に引かせてゆく。
本質的に姿が見えて居ないソレに「わかりません」単純に素直に言葉を飛ばす「これは”この場所”の魔法石。この私達の世界に必要なものの一つ」言葉に答えを合わされるようにして、布はすべており切った。
布越しでは感じる事の出来なかった物の異様さは、明らかに少し前に見た魔法石はとても比べ物にならないほどの大きさ。魔法石を抜ける光によって、少し透き通りながらも淀んで見える。異質であり、異様と言ったほうが近いその魔法石は、外から入ってきて来るマナが近づいてくるにつれ少しづつ取り込んでいく。
取り込まれるマナは、物音も立てず浸透するような入り方でただ神秘的なものだ。
「こうやって取り込んでいくんですね」自然と口走った言葉は、二つの物を見比べるように視線が動き「何が?」理解できなさそうな彼女の語気の強い返しは、「いえ……」私の口をどもらせる。
視線をよけるように、開いた扉近くで立ち止まっているエルドラさんに目を向けてしまう。あまりこういった事で目線が合うのが気が引けてしまうが、怖さがやって来るのはどうも苦手だ。
視線に反応するように、こちらにゆっくりと歩み出すし姿を見ていると声は入り込む。
「悪いんだけど、私にはあなたが言っていることが理解できないの。少しだけ教えてくれない?」
「えっと、実は……」彼女の言葉の強さにつたえるのが怖いが「実は、マナが見えていて」彼女は一度首をかしげ目が上に向く。
一度私に目線が戻り「あなたが見えている物?」確認が入る事に軽く首を縦に振る。
「へぇ。良い事じゃない。本来はそれを見るためにどれだけの人が死んだか……夢はここでやっと見えたのね」少し声質が変わったように態度もどこか嬉しそうにそわそわ動きが揺れている。
目をつむり「そうなのね。良かったわね」私ではない誰かに対してかみしめた声は「素養なの、いえ素質……視線が純粋になるほどにそうなるのかしらね?」納得したような声は目を開き「では、こちらも少し私達の話をさせてもらおうかしら」会話を切り裂いてゆく。
彼女は姿勢を固めていたような姿を柔らかくしてゆく。その緊張感を緩めるように、彼女の手は彼女の声に合わせるように、動かしてゆく。
胸に手を置いて「あなたが今いいことを言ってくれたおかげで、私はとても気分が良いの」吊っていたような眉は優しいものに代わり「ありがとう」見せてくれた顔の中でとても素敵な笑顔でいた。
笑顔につられたのか遅い足つきは、軽い足つきになるように彼女の隣で止まる。その姿を彼女は見る事はなく「エルドラ」返事の無い視線は「やっと始まるの。あなたも聞いててね?」彼女の喜びを受け取るように静かに「はい」返事をする。
「でも、まずは貴方に謝るわ――無理やり見たいにつれてきたと聞いたの」腰を折り「ごめんなさい」頭が下がる。
「あ、いえ……すこしづつ外の世界に興味があった時なので気にしないでください」
慌てて、手を私の前に出しあわあわと落ち着きのない動きで横に動く。
彼女の少し間をおいて頭を上げる「優しいのね」だが、あどけない笑顔は優しい大人の顔へ変わっていた。
一呼吸がおかれ、顔は私ではなく外を向いている「あなたを連れてきたのは、”私達”の本質的な役割を手伝ってほしいため」強弱を込めてわかりやすく聞きやすい声は「それが私達の生き続ける意味でもあるの」彼女自身の事を指が刺す。
彼女の静かな視線は「役割?」私の声にもう一度謝罪をかける「そう。けど、申し訳ないのだけどすべてを話せるわけではないと始めに伝えておくわ」瞬きをした時、彼女の眼は真剣に変わっていく。
――――――あなたの心を守るために。
彼女から伝えられた意味が解らなかった。説明されて私の心を守る意味。それの答えに疑問を持つように「私の心?」ただ首をかしげるように聞くしかなかった。
「そう。けど、説明できるところから説明させてちょうだい」話を置くように彼女の見ていた場所は「少し前、あなたが魔法を使えると皆の前で説明した時があったわね」先ほど着た場所だと知った「それは貴方の力を、この場所に来るまでに使わせたくなかったから」
身体を動かし、後ろにあった魔法石の周りを少しづつ回り始める。
――――――貴方の力。違うわね……私達の力。その名前は『上限の力』――――――
「「上限の力?」」
彼女が半周した時には、自身の手を見つめながら「二人とも、わかりにくいわよね。この世界には正しい知識と、皆が知っている知識の表面上の知識があるの」エルドラの少し後ろで止まり、手は真っ直ぐに彼女を刺す「でもそれは当たり前……それらの情報の大元である事。私達は知っている事であり、その力を知らないものは皆は自らの手で知ってゆく」彼女が刺した意味をエルドラは理解したように「わかるわよね」その言葉を聞かれた時の反応は早かった。
「そして」彼女の回る動きは先ほどの位置に戻り「それが表と裏。あなたが使える力の意味でもある」私の前にゆっくり着て手を取った時「あなたがもし、人を簡単に殺す魔法」手を絡められながら「触れた者の命を奪う魔法を使ったとすれば、それは実際に起こる」ミライさんの胸に向け近づいてゆく。視線を感じる、彼女の眼を見つめている目は冷たい。
私は我に返るように驚きながら手を慌てて離す。会話と関係ない所でドキドキしているのか、彼女が伝えてきている意味を理解しそうになった時『間違って起きたらどうなるのか』恐怖心が手を離したのか、わからなかった。
ほどけた手が降りきった時「なら……いえ」どもる声は「良いわよエルドラ。言ってみなさい」注目を集め「なら、はじめからそれで目的の事をすればよいのではないですか?」真っ直ぐな疑問が直接通る。
もし、この力が何でもでも許容できてそれらに上限を当てる事ができるならこの疑問は間違いではない。その疑問にエルドラの前に歩き直し、視線は魔法石へとむけてゆく。エルドラの視線は相変わらず変わらない。
エルドラの隣を抜け「……そうね。簡単であればそうしたい。けど、それは夢物語なのよ」手が再び魔法石に触れなおす「この力……この力を直接受けないものがあるとすれば?それが原因でこの力が必要だとすれば?」疑問は石を通して反射するように、重さを増している。
「……それは、なんですか?」
「残念だけど今は教えれない。ただ。私達は魔法を捨てる事はできないの。基準は魔法なのそれに……」視線は私をまた見ている「すべてを話してしまうと、あなたが困ってしまうから」
どこまでも聞いても深くは答えない彼女は、私の事を時折出す。そこまでにして隠しながら心配する意味を私は知りたい。
疑問と不満が膨れてゆく「また私ですか?」少し腑に落ちない答えから遠ざけられるこの問答に不満の声が漏れていく。
「あなたが大事なの。いま理解できなくてもいいから。だからこそ順番――だからこその今の時間なの」
―――さて
「もう少し教えておきたいことがまだあるから、まずはそこね」
振り返る彼女は、語る。
――――――それは【上限の力】これらは現時点でできている魔法と呼ばれ・技術あらゆるものに対する大雑把であり、細かな管理者の鍵。これは私達の力、すべてを統括している力。
ひとたび力が始まれば、その後の一重の影響がどうやって広がるのかは想像できない。重い力。
今現時点でいる魔法の使える魔法使い。そして使えない者。それらがどうして”その人”なのかも理解ができていない。この世界は”魔法”と言う安全装置によって助かっている。
いえ、本来は……でも、だからこそのこの力。
教えるなら、少しづつ理解しないといけない。基準として知っておかないといけない。この場所は、それらで成り立っている。
だから、まずあなたに私から教える力の基準を教える必要がある――――――
彼女は私の隣を抜け、手を伸ばす。その先は空に向けているようだった。
「それらは速度・威力・量・大きさを肌間でもいいから覚えておいてね?」
彼女の手のひらには、少し透明で淡い光の魔法が造られ始める。
――――――これは基準点。本来、人が最大火力であった魔法。人を助けるために、生命を脅かすソレから守る力。時間と共になるそれらは魔法。個の速度は、きわめて基準点で時間とともに左右される。その力の正体を、私達は魔法と言っている。これは過去の恐怖を狩る力――――――
「ちゃんと見てなさいよ?」
彼女が一間を置いた時。手から勢い良く逃げるようにして魔法は空中へと流れてゆく。魔法は、浮いているマナを裂いて部屋を抜ける。魔法の速度は目で追いやすく、空いている扉から空へと抜け続ける。
彼女の魔法を見てエルドラは「案外速度遅いんだな」彼女の軽口は「エルドラ……」自身の動きを凍り付かせる「何でもないです」そのおどけたような返しに対して肩が落ちる。
エルドラさんが言っていた『案外遅いんだな』その言葉はどれくらいの速さを見たのだろうか。想像は
「よく見る魔法って、どれくらい早いんですか?」
「そうね。個々の差はあれど、魔法を使う人であればあれくらいの速度は出しやすいと思っているわ。放つ者の気質に合う、力・速度・大きさとを時間と共に成長させる。これはあくまで基準になる魔法。早い魔法は本当に早く、力のある魔法は肌を抜ける」
彼女の投げやる言葉は「誰がここまで上げたのかわからないけど、私はその早い上限の魔法を見たことがあるわ」身体を返しながら、その視線は何処かへ向けられている。
彼女は説明がひと段落したのだろう「エルドラお水をちょうだい」何時ものように扱き使うようにして、命令を飛ばす。
固まったエルドラは、一瞬嫌な顔をしながらも何も言わずに部屋の外へと歩いてゆく。
振り向いて動く体を一瞬止められるように「そうそう二人とも。この話は外に漏らさないでね。問題が起きるから」その声の返しを聞いた彼女はエルドラに手を振る。彼女の姿にまるで先ほどの返しのように方は落ちる。
エルドラさんがいないこの空間で、二人きりのような状況。始めましてではあるが、聞きたいことは山ほどあるみだ。少しづつ聞ける場所を聞いて行こうと声を出してゆく。
「あの疑問があるんですが」こちらにまっすぐ向いている彼女は、腰を下ろしてまったくやる気の無い恰好へと徐々に熔けていく「どうぞ」手を伸ばしながら「もし私が、ここに来るまでに魔法を見ていて、やり方を誰かのマネするみたいにやっていたら……どうなって」彼女は不敵に笑っていた。
彼女は部屋を抜けたエルドラさんへ、視線を向ける。
「エルドラの槍によって、気絶してたかもね?」
彼女のだれた笑いは、重そうに手を振るようにして地べたへと少しづつ近づいてゆく。
「まぁ、冗談はさておいて。魔法ってことをあまり知らないなら何も浮かばないでしょ?」
「……それはそうですが」
説明はすれど、どうしても彼女の”私のため”を言い訳にした彼女の言葉は、どこも現実を隠しているように感じる。
彼女の熔けきった様な姿は、地面に全身を横に倒してただ顔だけがのぞいてくるいたずらっ子のような目は質問をする。その姿での私を見つめてくる姿は、何とも言えなかった。
「さて質問よ。マナはどこまでこの世界の常識を知ってるの?」
彼女の脈絡のない質問の意味は理解できないまま、彼女の問いに頭を働かせながら心当たりがある事を思い出す。
自分が、今までに記憶のある場所をなぞるようにして思い出してゆく。
記憶が始まったのは……エルフの里――私が来た森の中の時間――そして今日というこの時間――それらで得た常識なんてあまりにも小さいのかもしれない。
確認してみると、かなり限定的な場所の移動。何もないような場所にわかっていても知れている。
そうなると、答えは決まっていました。
――――――まったく、知りません!
???「お疲れ様……でした?です?。今回の、プロローグの終わりと第一章の始まりは”マナ?さん”の『力を知るかどうかでわける』って……言ってました。なにやら『あれは始まりだ!』って……強く言ってました」
――――――
――――
――
???「えっと……プロローグを、頑張って読んでくれた皆さん。あの……この一話を、読まれた皆さん……ありがとうございます。……では」




