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旅の拠点は亀の上!怪力少女と毒スキル持ち青年の魔物ごはん  作者: 時雨笠ミコト


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【28】ペェちゃん、ビームを撃つ

ペェちゃん、ビームブッパ

「とは、言っても……状況は変わらないんですけどね」


 苦し紛れの投擲がマグマゴーレムに激突する。

 人間ならばそのまま骨の一、二本持っていかれそうな威力だがマグマゴーレムはスライムのようなマグマ部分でその衝撃を殺し切れるらしく、特段反応を示さない。


「チッ」

「確かにこれは報酬でも出さなきゃ無理か」


 マグマゴーレム。中央部にある核を、スライムのようなマグマ、あるいは体内の岩盤部を用いて守っているモンスター。

 厄介なのはその2種類の防壁であり、物理攻撃をマグマ部分で防ぎ溶かし、魔法攻撃を岩盤部で防ぎ切るというなかなかテクニカルな防御をしてくる。

 物理防御の堅牢さは、『アーネリカの攻撃が通じない』ですべてご理解いただけるだろう。

 求められるのはこれをさらに上回る火力か、もしくは搦め手である。

 上回る火力、の難易度がどれだけものものかはもう説明はいらないと思っているので省略。

 そして搦め手も、一筋縄ではいかないことを理解してもらいたい。

 相手はマグマゴーレムまあ水が弱点なわけなのだが、この灼熱極まれりな洞窟で、揮発させずに水を持ち込む難易度は相当なものである。

 そして持ち込めたとして、取り巻きがそれを優先的に排除しにかかる。マグマゴーレムに有効打を与えられる可能性は限りなく低いと言っていいだろう。


「アーネリカ、魔法使えたり……」

「するように見えますか?」

「ですよねぇ」


 有効打としての現在の最有力候補は魔法攻撃である……が、今ここにいるのはゴリゴリの物理アタッカー。

 さてどうしたものか、と思っている僕の横を、トコトコと何かが通り過ぎていった。


「え」


 通り過ぎた何かは真っ直ぐに取り巻きの死骸へと近づき……そして『コーーーーン!』と盛大な音を立てた。


「ピャーーーーッ!!」

「何してるのペェちゃん!?」


 取り巻きを突いてみたもののものの見事に硬度負けし、ぴぃぴぃと泣き喚くパンケーキミシミシガメを慌てて拾い上げ……ようとして止まる。忘れてはいけない。重量はそのままである。


「わざわざあんなの食べなくてもいいでしょ?時場所場合を考えようね。アーネリカが戦って……話聞いてーー?」


 ペェちゃんはこちらの静止など御構い無しに、コーーーーン、コーーーーンと何度も口を取り巻きの死骸へと突っ込もうとしていた。

それをどうにか止めようとしていたのだが、ふと見えた瞳に確固たる意思が宿っているのをみて手を止める。


「こうする理由があるんだね?」


 そう確認すれば、パッとこちらを振り返ったペェチャンがキラキラした目で頷く、


「食べれればいいの?」


  再度首肯。どうやら食べることで状況を変えられるかもしれないらしい。


「ナイフはどこ?」

「ンゴペェ」


 常はペェちゃんの背中にある家に置いてあるのだが、今は本体ごと家も小さくなっている。

 なのでそう聞いてみたところ、何故かナイフが口から出てきた。手のひらサイズの今の体から出てくるのは絶対おかしなサイズなのだが、出てきてしまったものは仕方ない。

 一応様子を見てみるが、無理をしているわけではないようだ。むしろ何だか誇らしげである。

 

「どこに入ってたのそれ……あと鍋とか基本的なのちょうだい?可能なら口以外から出せ……」

「ンゴペェ」

「ない、と。何故か罪悪感がすごい」


 口から出てくるのは据え置きらしい。

 仕方がないのでそれを拾い上げ死骸に近寄る。ダイヤ型の体、息のある時は発光していた繋ぎ目に手をかけてそのまま全力で“割り開く”。

 感覚的にはカニの甲羅を相手取っている気分であるが、開いた隙間から赤黒い液体が流れ出た。

 手に触れると焼けるような刺激、おそらく強酸に近い何か、とりあえず有害物質。

 だがすでにこの体には耐性はあるらしい。長時間晒されなければ問題はないだろう。


「耐性様様……と」


 一通りドクドクと流れ落ちる液体をそのままに外角部分を割り広げていけば、黄色い肉にたどり着く。

 それをとりあえずナイフで切り分けていくと、奥の方に袋状のものがあった。中には液体……見慣れつつある色の液体。


「これビームの素か何かかな?」

「ペァ!ペァ!」

「え、これ?肉じゃなくて?」

「ペーーーッ!!」

「あっしかもそのまま行くの?いや毒はなさげだけど」


 袋を切り取った瞬間に、ペェちゃんがそれに強い反応を示す。よこせ、と言われていることはなんとなく察したので、恐る恐る前に差し出してみる。


「モグムギュウ」

「食べちゃったよ」


 ほぼ丸呑みと言っていい速度でそれを飲み込んだペェちゃんが、その場でたしたしと足踏みを始めた。

 そして、ゆっくりと口を開く。


「ペァァァァアアアアアア……」


 その開いた口の真ん中で、光の玉のようなものがジリジリと大きくなり始めていた。

 そして僕はなんとなく察する。

 このタメ、この予備動作、そして何よりこの気配。


「アーネリカ、避けて!!」


 僕の声に反応して、とりあえずアーネリカが全力で回避行動を取る。

 口の中央で限界まで光の玉を大きくしたペェちゃんは、そのまま口を閉じて、


「パーーーーーーーーーーッ!!」


 目からビームを発射した。

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