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ソウルダッシュ  作者: 転醒 廻実
スタートダッシュ リ 両手に花
58/80

第58話 本当の所は

「…………」


 知らない天井だ。

 いや嘘、知ってる知ってる。

 神鵺の邸、の、私に宛がわれた部屋だ。


「んぁれ……私どうなって……」

「環奈様」

「クロウ……」

「ご加減は」


 えーとそうだ。

 神鵺の凄さを再確認して。

 何かヤケクソになったって言うか。

 怖くなったって言うか。

 そう、アイツの事をマジモンの神だとでも思っちまったんだ。


 んで逃げてたらクロウに捕まって、宥められて。

 その最中に……。


「ッ……」


 チクショウ、ここからノイズが掛かってやがる。

 神鵺の奴、この辺りを消去デリートでもしたのか。


「……何か……また迷惑掛けちまったみたいだな」

「いえ、先の事件は他の狩猟者プレデターの仕業でした。神条 神鵺は、罰金を気にする事も無く…………と言うか、罰金の事など頭から抜け落ちていたのでしょうが……」

「……?」


 何だ、心底疲れたような顔して。

 あ、ため息。

 余程の事があったのか。


「……何時の如く、狂った笑いを揚げて撃破しました」

「……」


 また凄い事するな、神鵺。

 何だよもう……これじゃぁ私、まるで……。


「……ヒロインじゃねぇかよ……」

「……環奈様……」


 鵺と世界征服オーバーライドで勝って、神鵺とのレースにも勝って、それが気付けばまた助けられてたのかよ。


 何なんだよ。

 こんなカッコ悪い事があるかよ。


「…………環奈様ッ、私は、あぁだっ(ドゴッ)!?」 (バリーンッ!!!)


 んだよ神鵺。

 クロウ吹き飛ばしやがって、笑いに来たのかよ。

 自分で割った窓なんだからな、弁償はしねぇぞ。


「午前5時、話す時間は1時間だけだ。環奈、一つだけ念押ししておく。いらん劣等感プライドはスライムにでも喰わせとけ」

「……」

「俺は、俺が望む結果を叩き出す為に戦ってる。生物云々じゃねぇ、際限無く理想を突き詰めていけばそれに行き当たる俺の望みだ。さて環奈、お前は一体何の為に戦う」

「……カッコ良く生きたい」

「……そのカッコ良い姿は、誰の為にある」

「……誰の、為に……」

「俺か?」

「……」

「クロウか?」

「……」

「……ソイツを魅せる相手は?」

「……分からない……」

「……」

「分からないって……分かるわけねぇだろ……」


 生まれてからこの方、自分が何の為に戦って来たかなんて。

 自分が何のために生きているかなんて、考えさせる時間すらくれなかった癖に!

 あの時まで散々弱者の側に押し込めて、甚振ってくれた癖に!!


「それを今聞くなんて、あんまりじゃねぇか!!!」

「……」

「教えてくれよ!! お前はどうしてそこまで無情でいられるんだ! 何処まで人の想いを貶せば気が済むんだ!! 私の意義は! 私が生きる意味は、一体何処にあるってんだよ、おい!!!!!」


 * * *


 ……生きる意味ね。


 天宮 環奈、なるほどお前は、俺とは違う苦悩を抱えていたわけだな。


 何時もの俺なら、「コイツもか、下等存在め」と思うんだが。初めて真正面から向き合ったからか、それともダチだからか、コイツの苦しみをもっと知りたいとまで思えてきた。何時も抱く、その立場に立ちたいって感情じゃなくて。何て言うんだろうな、俺にも良く分からん。多分そう言うモンだ。深く考える必要も無い、どんな説明も無意味になるモノ。


「……それは、俺にも分からん」


 そうだ。分かるわけが無い。

 そんなものは端から存在しないからだ。


「じゃぁ私は何なんだよ!!!」

「俺のダチだ」

「そう言う事を聞いてんじゃねぇ!」

「環奈」

「ッ……」


 おっと、静かに言ったはずなんだが、気配が抑えきれなかったか。


 あのなぁ環奈、それ以外の何でもねぇんだよ。

 そこから変質する事はあるだろうが、俺にとってお前は。


「……俺にとっちゃ、お前は……最高のダチなんだ」

「……そうか……」


 まぁ、この説明じゃ不満だろうな。

 人の気持ちが分からない王って言葉を、今になって思い出した。

 あの作品の王も、こんな気分だったのかね。


「……はふっ……本当の所はな」

「?」

「俺自身、この先生きてどうなるんだって思う時はある。結局は死んで、後には何も残らない。残ったとしてもそれを自覚する自分がいない。そんな人生に意味なんてあんのかってよ」

「……神鵺も、そんな事思うのか?」

「お前よりも重篤じゅうとくかもな。だがな環奈」

「あうっ」


 何かもう我慢出来ないから抱き締めちゃう。

 あぁピッタリフィット。


「んなもん考えたってなぁ~んにもならねぇんだ」

「……どうにも、ならないのか」

「ならない。って言うかそれを考える事自体間違ってると思ってる」

「……それは、動物皆そんな事考えたりしないから……とか?」

「大当たり。俺は含機械生命体マシーナリーである前に、人間である前に、一生物で、動物で、獸の一つ。”ただ望むままに”」

「……そんな風に思えたら……私も、辛くは無かったのかな」

「そもそもこんな事を思想する事自体が悔しい事なんだがな」

「……私には、理解出来ない領域だな。神鵺……私な、初めて会った時の非道さに惹かれて、お前みたいになりたいって思って近づいたんだ……」

「止しとけ。”俺”を努める事が出来るのは俺だけだ。成り変わっても、もっと辛いだけだぞ」

「……違う……今じゃもう、何で一緒にいたいのかすらも分からなくなっちまってるんだ」


 おいおいおい何だそりゃ。

 変な事言わんでくれよマイフレンド。


「……まぁ何だ。俺手製の料理でも喰って落ち付いてけや。浴室でシャワー浴びてぇぅ……どうした環奈」


 変に強く抱きしめているんですが環奈さん貴方俺より高い筋力でそれはヤバいってねぇちょっと止めて腰が。

 ちょぉおい待て腰が締まる痛い痛い痛いそこは機械が詰まってる場所ぉおおおお!!?

 メキメキ言ってる!! 環奈ストップ!!!

 ギブギブギブギブギブギブ!!!!


「|あ”ぁ"っ!《ゴキリッ》」

「……馬鹿野郎……」


 なじぇこうにゃるの。

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