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ソウルダッシュ  作者: 転醒 廻実
スタートダッシュ ト 遠くの親類より近くの他人
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第44話 レイドウィーク

〔レイド・ウィーク二日目〕


「テメェふざっけんじゃねぇ講義中だぞバカかホントに!!!」

「知らないし、死んどけ」

「前からお前の事気に入らなかったんだよな!!」

「あっそ」


 うちの学校の、しかも同じ学科にまで狩猟者プレデターがいたとか何だそれ。教室での講義中に襲撃仕掛けて来るなよ。一応二人して情報操作での支配ジャックで周りの奴ら気絶させてるけど、最初コイツ奇襲して来やがったんだぞ。


 まるでコッチに興味無い様なフリして、かと思えば裏でグチグチ嫌な噂垂れ流すようなヤツだったし、もうこうなれば構いやしねぇ。


 コイツは殺す。

 殺して魂奪って俺の世界から消してやる。


 って言うかお前何だその隠密能力!!

 姿隠して斬って来んなお前!!

 ホンット陰気!!

 その癖して友達がいるとかマジムカつく!!!


 互いに干渉しなきゃ良いものをわざわざちょっかい出して来る天邪鬼が!!

 コイツの存在はいらねぇ!!!

 俺の世界には必要無い!!


「自己中だよね。だから友達出来ないんだよ」

「ズキッ、人を怒らす天才って言われた事あるだろお前」

「さぁ? 少なくとも自分の事ばかり考える奴にクソとか言われる筋合い無いんですけどね」

「……じゃぁもう、この学校ごと吹き飛ばしちまおうか」

「良いの? そんな事やって」

「身を案じてくれてるの? サンキュー」

「キモい、消えて」


 こちらからの物理干渉不可な隔離世に潜むコイツへ確実にダメージを与える方法と言えば、一つしか無い。奴は気付いてないだろうが、今俺はジェイクも連れている。それがどう言う意味か分かるかね。二人分の頭脳があるって事、つ~ま~り~?


「消えんのは……テメェだ!!!」

「――ッ!?」

支配ジャックに成功した』


 奴の意識しなかった別の存在からの情報操作。支配ジャックだ。

 不意打ちを喰らって攻撃を許したコイツに、すかさず俺も支配ジャックを重ねる。


 まずは隔離世から出てもらおう。


「よぉ、汚ぇ顔だな」

「待った、交渉しよう」

「やだ」

「待って、止めて。ねぇお願い止めて」

「俺の世界にお前はいらねぇんだわ。もう何もしなくて良いから、これ以上俺の気を削がないで」

「そうするから。何もしないから。それ何」

「俺が採取した呪いの記憶」


 あの時の優の記憶から作った、恐怖の記憶を封入した水だ。

 勿論こんな時の為に、ブレーキ外した殺す気の代物に改造してる。

 さぁお注射の時間ですよー。


「あっ」 (ブスッ)

「いってら」


 後は、まぁ、廃人まっしぐらだけど、死ぬより良いんじゃない?

 ご家族に心配されながら一生真っ黒な世界見てなさい。


「まったく、記憶処理するコッチの身にもなれっての」


 適当に事実を捻じ曲げて、俺は学校生活再開っと。



〔レイドウィーク三日目〕


 特に襲撃無し。

 至って平和そのものだった。


 リトラとかその辺りの馬鹿は変にそわそわしてたが。



〔レイドウィーク四日目〕


「はぁ~……」


 俺は狩猟者プレデターになる前、風呂には入らずシャワーで身体を清める事がほとんどだった。


 今では邸の広い浴場で優雅なバスライフだぜ。


 勿論この時でも指輪は付けている。

 何時何が起こるか分からないからな。


 例えば湯槽から綺麗な女が寄り掛かって来ることも――左胸刺されとるし。


「あら、死なない?」

「おい、うちは人魚の出入りを許可した覚えは無いんだが?」


 ほぉ~らまた変なのが来たぁ~。

 浴場にナイフ持ったリトルマーメイドだもん。

 いるならせめて綺麗な歌でも歌ってくれや。


「そんな事言わずに、一緒に踊りましょう?」

「御免被る」 (ザッパーン!!)


 こういう時のために腰にタオル撒いてて良かったぜ、ハイジャンプ。

 んでもってウルネラとアルバロを装備して、お湯に負の弾丸発射、凍らせる。

 人魚に泳がせるわけないだろ。


 って脱出してるし。


「あら、水じゃないと泳げないとでも思った?」

「あ?」

「私、何処でも泳げるの。空中でもね」


 空中を泳ぐんだったら人魚である必要無いんじゃね?

 あぁでもこれは、中々、芸術的っすね。


「綺麗でしょ? そう願ったからよ。この指輪のお陰」

「解放したのか」

「ええ、素敵な力よ? 人間を止める事が出来た上、ずっと憧れてた人魚になれたんだもの」

「悪いがそれは柄に毒針の付いた剣だ。呑まれたとなっちゃ、お前もう長く無いぞ?」

「そんな事無いわよ、だって……アレ……?」

「……言わんこっちゃねぇ」


 人魚の物語は、最後に泡となって消える悲恋なんだ。

 お前、ヒレの先から消え始めてるぞ。


「ウソ、だってあの子は私を解放して……ぃ、嫌っ、嫌だっ、止まって! 止まって!!」

「お前、一般社会ではどんな扱いになってる」

「こんな時に何聞いてるのよ!!」

「生きてるか死んでるかだけ答えろ」

「死んでるわよ!!! 人魚になる為だけに死んだわよ!!!」

「OK。生まれ変わりたいか」

「何なのよそれ、取引のつもり!?」

「いや、単なる提案だ。これは詳細を省くが、俺とお前で一つの存在にならないか」

「お断りよ!!! そんな事、私は――」


 ズドン。


 女の意思は、最後まで尊重してやらんとな。


 最後には、死体も残らず魂まで……消えない?


 待て、何処行く魂。


 ……もしや、アレはあの人魚じゃなくて……石か?


 石が狩猟者プレデターの魂を喰らって、そんで世界征服オーバーライドするのか。って事は、あの魂が向かう先は悪魔の所?


「……完全に呑まれるとああなるんだな」

『そうだよ』

「誰だ今の」

『我だよ、アルバロ』

「ん? おぉアルバロ、完全に同調したか」

『今の一撃でね』

「こりゃめでてぇ」

『実はウルネラの方が先に同調してるんだけども』

「コイツは引っ込み思案っぽいしな」

『……待ってた』

「これで俺ら、4人で一つか。宜しく頼むぜ」


 とりあえず氷溶かしてもっかい湯船浸かるか。


「あったけぇえぇ~」




〔レイドウィーク五日目〕


 狩猟者プレデター内でも大体の力関係が決まって来たのか、ある日連絡が回って来た。何と連絡して来たヤツは、悪魔の一人インプ。ちっちぇえガキみたいな奴で、何でも狩猟者プレデター間での無益な争いに呆れ果てて力関係を分かりやすくするための連絡組織を立ち上げたんだとか。まだ構成員がコイツ一人しかいないらしい。


「と言うわけでして、黒金剛石ブラックダイアモンド様は金緑変石アレキサンドライト様と同列かそれ以上に分類される、Sランクと判断致しました。今現在判定出来る域では最高ランクであります。最強の狩猟者プレデターと言っても差し支え無いでしょう。何せ、貴方方は生き残っている中でも最古参勢。その残忍性と確かな知性、猛獣の様な凶暴性は、まさに、最強と言うに相応しいかと」

「これで、無益な争いは無くなるのかねぇ」


 指輪から表示されるウィンドウには、俺のステータスやランクが載っている。

 黒金剛石ブラックダイアモンド狩猟者プレデター、ランクS、下位クラスは銃闘士ガンスリンガーで、オールB超えの高モッド。って、オールB越え!? 俺知らぬ間に容姿までBになってたのか……ジェイクと一緒になったあの時か……。


「少なくとも、身の丈を弁えない者共が増えないぐらいの効果は出るかと」

「でもそれって、Aランク達がこぞって襲いに来るにもなったりしません?」

「我々悪魔は、元々人間社会に混乱を齎す存在。しかしリトラ様、貴方ならお分かりでしょう。既にこの世は変貌してしまいました。天界も、この現世も、魔界も。今は混迷の時期、世界の成長の為には慎重にならなければなりません」

「その為の策がこれですか」

「ただの悪足掻きなのは百も承知、しかしお役に立てればこれ幸い」


 悪魔も大変なのねぇ。

 って言うか世界の成長って何だ、ここもメロディアスみたいに成長真っ只中なのか。


「こちら名刺です。ご意見やご質問等があればどうぞ連絡下さい。ではまた」

「お気を付けてー」


 あ、雷が。


「ギャァァアアアアアアア!!!!!!!!」


 大丈夫かな。


「……Sランクの証……ドラゴンか」



〔レイドウィーク六日目〕


 あのインプの働きが功を奏したのか、世界中で狩猟者プレデター達の動きが収まり始めた様子。中には同盟を組んだ奴らもいるらしい。


 うむうむ、人間とはそうあるべきだよな。

 団結するのもまた人間の力、その場所に溺れるんじゃないぞ。


 今日も特に襲撃は無く、平和に一日を終えた。


 このまま七日目も無事に終わるな。

 と、思ったのだが。


〔レイドウィーク七日目〕


「……ヤバい……」


 また優が未来を予知したようで。


「あと一時間で、狩猟者プレデターが大量に攻めて来る……」

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