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ソウルダッシュ  作者: 転醒 廻実
スタートダッシュ ト 遠くの親類より近くの他人
42/80

第42話 マイダディ

「お前、殺しに手を染めたのか……」


 俺の父ちゃんは、トラックの運転手だ。

 つまりは、運送業だな。

 勿論裏社会なんかに通じてるわけも無く、普通に良い父親だ。


 そんな父親でも、息子が誰かに襲われてるのを見たら何をするか知れたものじゃない。あの時狩猟者(プレデター)を撥ねたのは、完全に脊髄反射だったそうだ。


 父ちゃん……父ちゃん本当にありがと大好き。


「ごめん父ちゃん、俺……」

「良いよもう……良いって……」


 ああ、長らく撫でてくれなかった父ちゃんが頭撫でてくれてる。

 暖かい。超暖かい。

 父ちゃんすっかり老けちゃって、もう。


「……んっ……」

「……えぇーっと……神鵺君の、お父さん……ですか? その、お世話になってると言うかお世話させて貰ってると言うか、あの」

「マスター、記憶の処理を」

「もちっと待って、父ちゃんと一緒にいたい……」


 だってお前、1年に1回しか会えないんだぞお前。

 それがこんな偶然で会えたんだぞ。

 この一瞬一秒がどれだけ愛おしいか、愛する人がいるお前なら分かるだろレミィ!!!


「……そう言う事でしたら……周囲の後始末だけでも……」

「……ジェイクお願い」

『了解した。周辺地域の情報を改竄する』


 そうこうしてたら、リトラとの通信も回復したようだ。


『神鵺さん! あぁ良かった繋がった、大丈夫ですか!?』

『全員無事だ。エネミーは撃破したから、残骸の処理頼む』

『りょりょりょ了解しましたぁー!』

「……随分変わったなぁ……」


 ……こんなの最悪な親不孝だろうけどね。

 けど、それで良い。

 アンタが認めなくても、俺はこれが、今ある最高の道だと認めてる。

 もう惰性に甘えるのは止めたんだ。


「俺、今最高に生き物出来てるんだ。成り行きだけど、弱肉強食を身体で体感出来る世界にいる事が出来て嬉しいんだよ」

「もう人の話を聞いたフリしながら逃げ回るお前じゃないんだな。真っ直ぐ人の目見るようになったんだな」

「……こんな形で成長するなんて思いもしなかったけどね」

「んん……もう良いってそれで。お前がそれで幸せなら、もう何も言えないからさ? な? しっかりソイツらの面倒見るんだぞ?」

「……うん」

「困った事あったら言えよ? 出来る事なら父ちゃん何でも力になってやるんだからな?」

「うん……そうする」

「彼女達に辛い思いさせるなよ?」

「分かってる……分かってるから……」

「殺しの世界は、辛い事いっぱいだろうからな。悔いの無いように生きるんだぞ」

「もう良いって父ちゃん……」

「うん……うん……ぁぁ、それじゃあな。父ちゃん仕事だから、行って来るわ」

「んっ……気ぃ付けて」


 あぁ~……あぁあ~もう父ちゃん本当ごめんな父ちゃん。

 俺悔いの無いよう生きるからな。

 父ちゃんも程々に長生きしてくれよな。


「……マスター……マジですか……」

「アレは、崩壊した家庭の親子……」

「辛い……辛過ぎますよマスター……」


 何プルプル震えてんだ馬鹿共。

 もううちの一族も長くないんだ、疲れ切ってる。

 俺達末裔に出来る事と言やぁ、時々背中振り向いて手を振ってあげて、生き進んでやるぐらいしか無いだろ。


 ズルズル引き摺るのは悪い癖なんだ、いざと言う時には……。

 いや、そりゃコイツらには関係の無い事だな。


「うるっせぇ早よ帰るぞ」

「ダァブ、アウッ」



 * * *




 仕事の為に走る道中、神鵺の父である神条カミジョウ サトルは不思議な感覚に囚われていた。


 自分の息子が襲われてるのを見た時にも感じた、無我夢中になってる時のような感覚。


「……ッ!?」


 気付けば吾は、車をUターンさせてO市へ繰り出していた。


「神鵺……神鵺……!!」




「フフッ、掛かってる掛かってる」


 その様子を見て、O市と隣町とを繋ぐ大橋の上に座る少女はほくそ笑んだ。

 魔法使いの様な姿の狩猟者プレデターが、杖を振った。


「さぁ、狩りの始まりよ?」

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