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ソウルダッシュ  作者: 転醒 廻実
スタートダッシュ ヘ 弁慶の泣き所
39/80

第39話 初めての神話

『やっと見付かったぁ……!』


 あれ、通信繋がった。

 とりあえずコイツらにも見えるように映像見せよう。


『そんなとこ、ろ……神鵺さん泣いてます!?』

「……~~~~ッ!! 遅ぇえよリトラァア!! こっちでどんだけ経ったか分かってるかお前ぇ!!!」

『よ、41日……1か月以上……』

「グズッ……お前……お前俺……もう帰れないかって……」

『あぁあわわわ……えっと、そちらのお二方は……』

「……コッチの世界の住人」

「えぇっと、文哉って言います。そちらの神鵺にお世話になって、お返しに泊めていました」

「僕、寧音! ソレどうやってるの!? 粒子映像!?」

「こら寧音」

「あうっ」

『と、とりあえずそちら行きますね』


 ……良かった。

 マジ良かった。

 繋がってマジ良かったぁぁああああああああ!!!

 あぁあああああ!!!!


「ふぅ……いやはやあちらで約14日弱、探しましたよ神鵺さあうっ、し、神鵺さん?」


 お前こんだけ待たされたら抱き着きたくもなるだろ!!

 リトラァアアアアアアアアア!!!


「この角に羽と尻尾……リトラだ、俺のリトラだ」

「――ッ!?」

「ブェ!!」 (ビタン!)


 思わずぶっ倒れた。

 痛い、ビンタは痛い。


「そ、そんな人前で、尻尾とか触って! それに俺のとか、誤解招く言い方! ぁ、あぁああ貴方何! 何どさくさに紛れて! って、もう何なんですか今度はめちゃくちゃ甘えだしてぇ!」

「クゥン、クゥゥン」

「神鵺さん!? 神鵺さん正気戻って!? 神鵺さぁーん!?」

「……神鵺って……本当は凄く、甘えん坊……」

「犬だね。これは紛れも無く犬だね神鵺。僕もあんな犬飼いたぁい」


 だって動物だもん。

 甘えたい時だってあるもん。


「ごめんな、ごめんなリトラ」

「……もう……しょうがないんですから」

『接続の復旧完了。”私”よ、随分苦労したそうだな』

「あ、ジェイク」

『こちらでの約14日間に関しては心配いらない。記憶を頼りに、私が神条 神鵺として代わりを務めた。宿題等は一部やむを得ず済ませたものがあるが、その他は残している。目を通しておけ』

「サンキュ」

「皆心配してたんですよ、ほら」

「……お前ら……」


 優、信、足立姉妹、ケイン、ミキまで。

 お前ら全員心配してたのかよ。

 って優が走って来た。

 デカ女止めろそのスピードで抱き着くんじゃ。


「うわっぷ」

「急にいなくなってどうしたのかと思ったよ神鵺君!」

「酷いよご主人! まだ50連戦終わってないのにぃ!」

「ご主人、すっかり血の臭いが抜けた」

「いやはや。大丈夫だろうとは思っておったが、坊ちゃんが無事でホッとしたわい。大分参っておるようじゃが」

「私も慌てたぞ? 皆が急に騒ぎ出すから何事かと思えば、こんな大事件が起こってたんだからな」

「……」


 信だけ前以上に激怒しているんですがそれは。

 待って、首元掴まないで。


「お前リトラにどんだけ心配させたと思ってんだ馬鹿野郎!!! お前がいなくなったって分かった時、ショックで倒れたんだぞ!!!」

「サリーそれは言わない約束!?」

「言わねぇとコイツは分からねぇ! どうなんだ狩猟者プレデター、何とか言えよ!」

「……」


 そんな悲痛そうな顔しないでくれよ。

 また泣いちまうだろ。

 今我慢してんのに。


「……ッ……テンメェ……!!!」

「サリー、もう良いの。それに今回の事は、神鵺さんのせいじゃないから」

「けど! ぉ、って、こんな時まで甘えんじゃねぇ抱き着くな! っあぁ、もう……何撫でてんだくそっ……」

「……ごめんな……俺あの時変に虚無感あって、何もやる気起きなかったんだよな」

「何だそれ」

「たまにそうなる時があってな。それで寝て起きたら、この世界に飛ばされてて……」


 そうだ、俺誰かの罠に嵌められてたんだった。


『形式がゲートだった事は確認している。しかし、リトラ及びクロウの因子は確認出来なかった』

「他の悪魔が飛ばしたと言うのかね?」

『可能性は高い』

「何にせよ、今は元の世界に戻ろう。どうやら、逢魔時おうまがときの間でしか繋がらないようだからな」

「「「「「「「?」」」」」」」


 ゲートを見てみると、若干小さくなっていた。


 あぁーなるほど、逢魔時。色んな境が無くなるこの時は、確かに繋ぐにはもってこいだな。向こうも逢魔時って事か。で、そろそろその時間が終わろうとしていると。つうかミキ、お前いつの間にそんな知識を……まぁ良いか。


「……は、早く!! 早く戻りましょう!」

「だしつっ!!」「エマージェンシー」

「儂も、先に失礼するぞい」

「ではっ」

「神鵺君も早く! 早く!」

「ちょい待ち」


 ちゃんと寧音と文哉に礼言わなきゃだろ。

 あと、少しばかりの謝罪も。


「行くんだね、神鵺」

「でもまぁ良かったよ。ちゃんと帰れそうで」

「あぁ……あんがとな、泊めてもらって。だのに不愛想な真似しちまって……」

「良いさ。今度は成長したメロディアスに来てくれ。きっと見違えているから」

「ちゃんと彼女さんのゲートから来てね?」

「彼女じゃないですー!!!」

…………(ゴゴゴゴ)

「うちの堕天使が怒るからその言い方は止めてくれ」


 もう隠す気も無いな信。

 めちゃくちゃリトラの事好きなんじゃねぇかこのガチ百合。

 さては自分を抑えられないからずっと避けてたな?


「……行こうぜリトラ」

「あぁ、はい……ほら神鵺さんも」

「んっ……またどうしようもない事になったら、こう唱えてくれ。……『汝、全て善に背く者。汝、全て悪をける者。――ここに告げる。|獸足りて人たらん魂に、咆哮を《ラウド デザイア》』……だ。これで、何かが起こる」

「何かって?」

「君にも分からないのか?」

「……神鵺さん、今のって……」

「何か、降って来たっつうか湧いてきた。まぁ、もしかしたら俺を召喚出来るかも知れんな。最終兵器程度に捉えろよ」

「……分かったよ。それと……今回の戒めとして、君の事を神様として後世に伝えても良いかい?」

「ブフッ! あ、オッケ、名前が神だから」

「神様だって神鵺。この歴史が、何時か神話になるかも知れないんだね」

「光栄なんだかこちょばいんだか……まぁ、やるならそれっぽい文にしてくれよな。ってもうヤバいな……そんじゃ、さよならだ」

「ああ。さよなら」

「さよならだけじゃ物足りないから、まったねー!」


 そんなこんなで、俺は元の世界へ帰った。


 今回の事は、もしかしたら俺の事を叱る意味合いを持った罠だったのかも知れない。子供らしく怒られて、反省する機会が欲しかったのは事実だ。


 って事は、この事件を引き起こした犯人は。


『……作戦目標クリア。良い顔になってる』

(とんだマッチポンプじゃねぇかおい……)

『先に言えば、ゲートを開いたのは私ではない』

(共謀犯か、ソイツの正体までは分からんと)

『誰かの声があったので、その話を聞いて決行した。声の主に関しては、現在調査中だ。巧妙に暗号化されていたもので手こずっている』

(……"俺"も良くソイツの言葉に乗れたな)

『他人の気がしなかったものでな。恐らくは、"私"が良く知ってる可能性もある』

(……だよなぁー……出来るかは置いといて、やりかねないよなぁー)


 本当にもう……わけわかんねぇよ"アンタ"……。


(……まぁ……お陰でスッキリ出来たわ)

『他ならぬ"私"だ、メンタルケアもこなさねば』


 後で連絡しておこう。

 余計なお世話焼いてくれてありがとさんってな。



…………

………

……



 その後、寧音と文哉は手頃なノートを取りだし、今回の事を書き綴って山のホコラへ納めた。やがてこれを見付けた人が、新たな神話を語り継ぐ事を願って。


 そして永い時が過ぎて、破壊と再生を司る神の話が出来上がった。


[――かくて世界は三度死んだ。その後四十と一の数だけ火を眺めた破壊神は、二人の男女が持ち寄った米を頬張り慟哭を挙げた。その涙は火に溶け込み、涸れた地を潤して土に戻した。異界の神々は世の再生を喜び、破壊神と仲を繋ぎ止め、彼を元の世へ帰した。再びこの世が混迷に陥った時、我等の神は、真なる破壊を齎す。死を恐れるな。汝は善に非ず、さりとて悪にも非ず。在るがままに往かん事を]



―――――――データ―――――――


氏名:神条 神鵺/ジェイク 性別:男 年齢:18歳

種族:含機械生命体マシーナリー/黒の御使い(シュヴァルヅェーラフ)

職業:専門学生

クラス:狩猟者プレデター/銃闘士ガンスリンガー

契約者:リトラ=デビリッシュ

クリスタル:黒金剛石ブラックダイアモンド

侵蝕率:20%

レベル:46

【ステータス】

筋力:A+2 敏捷:S+ 生命力:A+3

感覚:C+2 器用:C+3 知力:A+3

精神:B+2 幸運:B 容姿:B+

【能力】

《思考世界:EX》

《放射:A+2》

《情報操作:A+》

____(ERROR)

彼だって子供なんです。

家族と離れ離れになって、寂しいと言う感情は持ち合わせているんです。


まぁ、にしたって色々やり過ぎだけど。


―― 次回予告 ――

 儂じゃ。ケインじゃよ。


 まさか坊ちゃんにあのような弱点があったとは、儂も驚いたわい。

 いやしかし、あの方は唯素直であらせられるだけなのじゃよ。

 己に対し嘘を吐かん。坊ちゃんはそう言う男じゃ。


 さて、次の話は如何かな?

 む? 狩猟者の連続襲撃じゃと?


 お、おぉこれは、凄い事になっておる。

 色んな狩猟者が次々出ては死んでいくぞ。


 最早坊ちゃんは最強の名を冠しておるようじゃ。

 しかしそれよりも驚くべき事がある、次回は衝撃の連続じゃぞ?


次回ソウルダッシュ。〔ト 遠くの親類より近くの他人〕


「父ちゃぁあーん!!!!!」

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