第33話 胸の穴を埋めてくれ
レミィの出産の日からまた数日後の事だ。
魂奪取の依頼を完了し、俺の部屋でリトラに報酬を貰ってる時の事。
なぁんか、変だ。
何がとか、どんな風にとは分からないが、変だ。
強いて分かるとすれば、これは気持ちの悪いモノだ。
狩猟者になる前からたまぁ~にあるんだ、良く分からんモヤモヤした気分が。不定期で訪れるからその時は音楽やらゲームやらで紛れさせているが、今感じる何かはそれでは拭えん程異常だ。気持ち悪い。吐き気までする。風邪かって? 熱も無いし咳も無いし至って身体は正常だ、本当ただ単に何かしらの変なモンが俺の中で蠢いている事だけが分かるんだ。
いや、この表現は違うな。
そう、一番シックリくる言い方は、虚無感だ。
「大丈夫ですか狩猟者? レミィさんもまだ退院してないと言うのに、何か変ですよ?」
「その内消える、そう言うモンだ」
「そう言うもんです?」
「そうだ」
しかしこれは本当に何なんだ。
こう、無性に歩き回ったり、音楽聞いたりしたくなるが、其の中でも時たま、フッと何もする気が起きなくなる。鬱とも言えるが、そんなネガティブ思考はするだけ無駄なのでスルーだ。そう、今までもそうしてきた。それで何とかなってきたんだ。
「……」
その、はずなのだが。
「……リトラ」
「ん?」
「……んっ……」
「……えっ」
ダメだ。我慢出来ない。
近くにお前がいる事が悪いんだ。
「撫でろ」
「えっ」
「良いから撫でろ」
「ど、どうしたんですか狩猟者……何からしくないですよ。そんな、急に甘えて……」
「……」
『調べてみたが、どうやら躁鬱の気があるようだ。”私”よ、常に最適解を選ぶ事は良いが、それはまた、己を追い詰め虚無へと心を向けるのでは?』
「……はぁ……良いだろそれで。"虚しい"なんて感情、今まで何度も味わった」
「……無駄、ですか……狩猟者、もしもですけど、こうして色んな世界で魂を奪っていって、何だかんだ生き残って、最終的に貴方だけが世界にいるようになったら、ッ!?」
「…………今その事は言うな」
撃ちたくなっちまうだろ。
俺にコイツらを撃たせないでくれよ。
何も言わずに抱き締めて、頭でも撫でてくれよ。
俺には今、この虚無感を前にお前しか寄り掛かるモンがねぇんだよ。
「頼むから……ただ黙って胸の穴を埋めてくれ」
「……"狩猟者"……」
―――――――データ―――――――
氏名:神条 神鵺/ジェイク 性別:男 年齢:18歳
種族:含機械生命体/黒の御使い
職業:専門学生
クラス:狩猟者/銃闘士
契約者:リトラ=デビリッシュ
クリスタル:黒金剛石
侵蝕率:20%
レベル:45
【ステータス】
筋力:A+2 敏捷:S+ 生命力:A+3
感覚:C+2 器用:C+3 知力:A+3
精神:__ 幸運:B 容姿:B+
【能力】
《思考世界:EX》
《放射:A+2》
《情報操作:A+》
《____》
[状態異常]
○__
遂に禁じ手を犯してしまった神条 神鵺、その代償は耐えがたい虚無感だった。
指輪の秘密が垣間見えた所で、次は何が待っているのでしょう。
―― 次回予告 ――
あ、今回は自分?
どもっす、六天 信だ。
狩猟者の奴、指輪を解放しやがって何考えてるんだろうな。
釘は刺しておいたが、これ以上リトラを怖がらせるのは止めて欲しいぜまったく。
んで、今度は異世界訪問……と言うか、異世界召喚か?
寝てる間に飛ばされるとかマヌケだろ。
音楽に支配された世界で、怒りのパンクロックを奏でるらしい。
まぁ何て言うか、奴も人の子なんだな。
次回ソウルダッシュ。 〔ヘ 弁慶の泣き所〕
「元の……元の世界に帰りたいんだよ”ぉ”お”……!」




