第31話 ____
「ヌ”ゥ”ーッハハハハハ!!! 逃げんなよ灼熱地獄!!! バトろうぜなぁ!? 一緒に世界壊そうぜ!?」
「何なんだ貴様は!? 一度我を呑み込んだ挙句に別世界へ送ったかと思えば、一緒に世界を壊そうだと!?」
「そうだが?」
「何処まで狂ってるんだ!? その頭の中にある世界は一体何を見てる! 赤子を救うんじゃなかったのか!?」
「それは今重要な事じゃないでしょ!!?!? 俺達今世界壊すの!!!! 分かるぅ!? 壊すの!!! 一緒に世界壊そう!!! お前も最後にブチ壊すから!!! ねぇ!!! 壊そう!!! 楽しいから!!」
「頭狂ってる!!?」
もうこうなったらそんなちっさい事気になっていられんし心配する事でも無いからなぁー!!! レミィは腹が痛いだろうがそのまま陣痛起こして出産しやがれ、赤ん坊も泣かずにはいられないだろうさヌ”ハハハハ!!!! 角が刺さりそうだから適当な産婦人科で帝王切開でもしてもらえ、その方が負担も無いだろうよ。良かったな無事出産だぜヌ”ゥ”ハハハハハハ!! おめでたいや、花火でも上げるか!!
はい核融合爆破! またまた核融合爆破!
超音速で逃げて、大爆発を見守ろう。綺麗な花火だぜ。今のでバトリスの人口がまた10万人減った。魂奪取、あぁ美味しい。お金もがっぽり。
「たぁ~まやぁ~!」
「赦されてはならない、コイツは、赦されてはならない! ウ、ウオォォアアァアアアァァァアアアアア!!!?!?」
極超音速での極超速機動戦、衝撃で瞬く間にバトリスが破壊されて行く様を見るのが凄まじく気持ち良い。嗚呼、やっぱ俺、悪で良い。破壊楽しい。超気持ち良い。人々の断末魔が耳に心地良いし、何よりこの地獄絵図が好き。身内がやられると怒る癖にこんな事で上機嫌になるって俺悪だわぁ~。生き物皆こんなんだよ今更なぁに言ってやがんだマヌケェ!!! 不良の考え方だとか腐抜けた事言ってんじゃねぇよ偽善者共!!! 自分の周りを護る力も破壊する力もねぇヤツらが戯言ほざいてんじゃねぇ!!! 自己中こそが生き物の真髄だ!!! 奪え!!! そして護れ!! 強く在れ!!! 心の強さだとかそんな生ぬるい事は、こう言った前提を整えてから言いやがれクソッタレェ!!!
「極論過ぎやしないか!? 真理ではあるがもっとオブラートに包めないのか!?」
「知るかぁ! そんなん考える暇があるんだったら俺に勝てるんだよなぁ!? 勝ってみせろよ! アンラマユを!! 裁いてみせろよ地獄様!! ハハッ!! ッハハハハァハハハハ!!!」
「狂人が……!!」
頭がチカチカするぅ。脳内麻薬の分泌が止まらねぇ。
悪役ってこんな気分なのか、こりゃ堕ちるわ。
やっぱ俺、上に立って蹂躙する方が好きだわ。ぬははっ。
『精神異常が酷過ぎる……が、これで良い』
「おい!? 止めないか!?」
「空気読んでくれてありがとジェイクゥ!! 寧ろもっと欲しいぃ!!」
『ならば、0.05mgほど投与してやろう』
「どちらも狂人か!?」
「狂ってるのは全部だ!! お前含めてな!!!」
『400年前を思い出す台詞だ、私も興が乗ってきたぞ』
「踊るか!」
『ではここで一曲』
「アホかぁぁああああああああああああ!!!?!?!?」
ハイテンポでグルーヴィな曲を大音量で垂れ流して、極超音速での戦闘を楽しむ。最早この世界上に住む生き物は地下へ潜み、地上へ残されたのは俺達だけになった。荒野を破壊し、偶に見える都市なんかを気まぐれに吹き飛ばし、熱の壁を無視して縦横無尽に世界を蹂躙していく。
『EP減少50%……遊びはここまでだ』
「OK。んじゃそろそろだ」
「何だ……何をする気だ……!?」
「いや何、こうなりゃ"全部"消した方が楽しいと思ってな?」
「……!? ……!!?!?」
「いるよなぁ~、憂さ晴らしとか言って苦しめようとかするの。けどさ、それって結局人に向いてんじゃん? 対等じゃん?」
「な、何を……?」
『プ、狩猟者? あの、狩猟者? バイタルに異常が……』
「何で他人の事見てんのかなぁーって、俺いつも思うンダよ。自分が楽しけりゃ良い事をいちいち人に話したりするンダぜ? 今の俺みたいに。これって物足りないと思うンダよ。残酷だと思ってるようだけど、違う、何か違う。そうじゃないでしょ? 君ら人に見せるために悪やってるんじゃないでしょ?」
「お……おい……?」
『狩猟者止めて、何か怖くなってきた。お願い止めて狩猟者、狩猟者!』
「残酷って言うのは、”全てを無に還す”ぐらいの事なンダってぇえの!!!」
――この時、俺の中で最悪の意思が目覚めた。
黒金剛石、お前の性質はこれだな? ちくしょう、コイツは俺の”真実”を知ってるのか。何処までも俺の性格を反映しやがって。
まぁ良い、今は乗っかってやる。
その方が楽しいだろ!?
「禁断の業を今ここに! 灼熱地獄、お前の存在を無かった事にする!!」
「!?」
『今何て!?』
「全ての記憶から消し去れ!!! 都合を合わせろ!!!」
「何をしている!? 貴様まさか!?」
『調整完了。____プログラム、実行可能』
「……ヒッ……!?」
『――ッ!? 神鵺さん!! 止めてぇええええ!!!!』
いいや止めない!
俺は!
今ここに!
”最も残酷な事の一つ”を起こそう!
「 ”お前なんざいらねぇんだよぉお”!!!」
――《____》!
「……ん?」
『どうした? バトリスは滅亡した。地獄の完全消滅も確認した。作戦目標クリアだ』
「……いや、なぁ~んか大事な事を忘れてるような気がする」
『何だ』
俺にとって、いや、俺を取り巻く全ての世界に関する重大な事を口走ってしまったような気がしてならない。確かに、レミィの子が起こした突然変異はバトリスのせいだ。あの地獄が実は生き残ってて、俺に隠れ潜んで報復しようとしてたからな。しかもバトリスに本体を残してだ。だから腹いせでバトリスまで滅ぼしてやった。確かにそうだ。
でも、何だ、もっと楽しんでいたっつうか。
俺のやった事は、こんなものではないような……。
「……何か考えたら頭クラクラしてきた」
『ドーパミンの過剰分泌までしたからだ。機体の限界も近い。帰還する』
「……うい」
『狩猟者! たった今レミィさんが搬送されました、帝王切開だそうです!』
「だろうな。はよ門開け」
……俺、一体何したんだっけか。




