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ソウルダッシュ  作者: 転醒 廻実
スタートダッシュ ニ 煮え湯を飲まされる
23/80

第23話 ナイトハッスル

 よっ、天宮 環奈だ。


 神鵺とバトってたら急に異世界へ飛ばされてビビったが、どうやらこれはあちらさんの悪魔がうちのクロウと一緒に考えた事らしい。神鵺が云うには、コドクって奴だったか。私達を戦わせて勝った方を更に強くするとは、流石悪魔、やる事が違うな。


 アレから頑張って世界中を探し回り、ある噂を辿ってこのヘルズまでやって来た。


 何でも、生身で空を飛ぶバケモノがいるって話だ。

 そんなの、アイツぐらいしかいないだろ。


 この世界の情勢を聞き込みで知り、ヤツが拠点にし得る場所を探して突き止めたのがこのヘルズだ。ここの何処かに、神条 神鵺がいる。私は直ぐにこの世界の服装を調達したが、ヤツは不用心にも来た時の格好のままらしい。この世界じゃ奇抜な格好なんだ、アレは。ヘヘッ、居場所がバレバレだぜ神鵺。存外危機感の無いヤツなんだな。


 夜を待ち、神鵺が部屋を取ったと言われる宿屋を訪れた。

 既に住人のほとんどが寝付いている。私は窓からの侵入を試みようと、土台を用意して神鵺のいる部屋の窓下へスタンバイした。まずは気配を探ってみる。おぉ危ない、まだ起きていた……と、思ったら?


「……ん?」


 二人? 気配が二人分?

 神鵺と一日ずっと一緒にいた、あのミキとか言う女でもいるのか?

 この夜更けに? 何故?

 別にこの世界じゃ食人文化とかは無いはずだが?


「あっ、シンヤそれは……はぐぅっ……!」


 ん!? 何か、妙な音と変な声が聞こえたぞ!?

 何だ!? 奴ら一体何をしてるんだ!?

 もしや、私に対抗する兵器としてミキと言う女を改造でもしているのか!?


 何て卑劣な、黒金剛石ブラックダイアモンドの指輪は伊達じゃぁないという事だな。良いだろう、私はそれを真正面から潰してお前の顔面に拳を食らわしてやろうじゃないか。


 どれ一体どんな非人道的な行いをして……いる……の、か……。


 ……窓からコッソリ中を覗いてみたんだが、アレは、何を、しているんだ?

 何故、二人が、半裸でくっ付い……て……。


「……!?」


 もしやと言うかこれはまさか、セッ! セッ! セ____(バキューン!)!?



 ちょぉっぉおおっちょいちょいちょいおいお前ら!?

 この非常時に一体!? 何て事を!? 何て事をしておるんじゃワレェ!?


 ちょっとお前目凝らして見てみたら、神鵺お前ロケットランチャー!? ロケットランチャーの弾持っておりんした!? ミキとやら大丈夫かロケットランチャーが! 嘘だろお前神鵺ロケットランチャーが!? うわ、銃口合ってんのかそれ!? 落ち付けお前らリローディングリローディングしてるけど絶対銃口悲鳴挙げてるぞ無理だろそんな荒っぽいリローディングの連続は!? あ、撃っちゃう!? 撃っちゃうの!? 大丈夫それミキの中壊れたりしない!? あ、我慢出来ないマジか撃っちゃうか!? 私はその瞬間を見る勇気が無いので目を逸らす!!!!


 ……チラッ?


「はぁッ……」


 ロケットランチー炸裂しおったぁぁああああ!!?!?!?


 おぉいおいおいおいマジかよお前その歳で女とリローディング繰り返すのかよ大人の階段昇ってんなバカヤロウ!? こちとらまだ高校生だぞチクショウ!? 命奪う事に躊躇いは無いけど命の神秘を目の当たりにするのは初めてなんだぞコノヤロウどうしてくれんだ神鵺の奴め。ちょっと興味持っちまったじゃねぇかバカヤロウコノヤロウハシビロコウヤロウヤロウ。


 今入ったらめっちゃ気まずいヤツだろどうすれば良いんだよ私今日宿取ってないんだぞチクショウ。


「誰だッ」


 あ、気付かれた。

 危ねっ、壁越しに投げナイフ刺そうとすんなよ。

 しかも今の声、多分ミキだよな。

 そんなすぐ賢者モード入るかよチクショウ。


「チッ、バレたからにゃ仕方ねぇ」


 先手必勝! 気まずいが飛び込むぜ!!


「神条 神鵺! 悪いが死んでもら」


 ってぇ~お前らくっ付いたままで一緒に銃構えてんじゃねぇぞ?

 しかもミキとやらお前、それ持ってる銃、サブマシンガン?


「「死ねぇ!!!!」」


 ああ、そうなんだ。

 お前、容赦無く撃てるんだな。

 そりゃそうか、私達他人だもんな……敵同士だもんな……。


 フルオートで全弾か、圧されちまうな。


「ぁ、ちょっ……待っ、やめ、悪かっ……カハッ……ァ……」


 まぁ、お楽しみを覗いて邪魔するのも悪かった。

 これぐらいのダメージは受けよう。


「……____」


 だが、お前らの危機感の無さは癪に障ったんでやり返す。

 ミキとやら、お前の事だからな、殺す準備はしておくぞ。

 今夜が最後の夜だと知れ、この女狐め。




 * * *



 ……やっちまった。


 ミキとよろしくやってたら、まさか予定よりも早く環奈が来てたとは。しかも現場を見られた上にミキに釣られて撃っちまった。お前、これぐらい反応出来ただろうに。その出血量、普通に考えたら死ぬがどうなんだ。


 とりあえずミキ、抜いて。抜いて。


「……殺っちまった?」

「……もしや、その女は環奈……なのか?」

「……あー……まぁ、何か、コロっちまったが……」

「存外冷静だな……まぁ、やってしまったものは……!?」


 あ、環奈起きた。

 直立状態のまま起き上がるとかホラーじゃないですかやだー。


「な、何だコイツは!? もしや私と同じ、ッ!?」


 あ、掴んで投げちゃう?

 ミキがぁー飛んでったー。


 お前こういうとこ容赦無いよな。

 何気に飛んだ先に槍用意してるし、あぁブッ刺さっちまった。

 おっとこれは、ミキさん貴方その死に姿中々良いね、思わず脳内フォルダに保存しちまったわ。


「お前、一体こんな時に何をして、ってそのロケットランチャー見せるな!!? 無駄にスタイリッシュな格好キメてんじゃねぇ折るぞテメェ!?」

「ハァーイ? ワターシ、トツゼンミラレテコンランシテルデース」

「嘘こけ!? 本当に何考えてんだこの脳内真っピンクは!? お前そんな奴だったのか!?」


 自分で言うのもなんだけど変態よワシ。

 だって死体性異常性癖者(ネクロフィリア)だし。


「~~……ッ! あ、明日だ! 明日、一騎打ちで決着を付けてやる!! EⅨ(エンドナイン)って呼ばれる戦闘跡地があるらしい、陽の一倍高い時にそこで会おう!! じゃ、じゃぁなバァーカ!!! ゼッテー殺してやるからな!!! あんな、す、スゴいモン見せやがって!! 細切れにしてやるからな!! 赦さねぇからなぁ!!!」

「おう、キッチリ行くぜ」

「あばよ!!!」


 純粋だなぁー。可愛い。

 って、何気に決戦の約束しちまったわ。

 まぁ良いわ、何とかあしらって依頼無効にする算段立ててやろう。


 さてとそろそろ、ミキを槍から解放してやるか。


「ほれミキ、大丈……むぐっ?」


 槍から抜いた途端キスとか大胆だなお前、口ん中冷たい。

 そんでもってちょっと臭い。


「……っぷは……すまない、こうでもしないと……」


 そんな悲痛な顔すんなってーの。

 別にアイツはお前が人間じゃない事に腹を立ててるんじゃないだろうし。


「まぁ、後で環奈も勘付くだろうが……気にすんな、奴も俺と同じだ」

「……お前達は……私を受け入れてくれるんだな……”死体”の私でも……」

「寧ろ死体は好きでな。特に綺麗な女の死体は良い、それがまさか綺麗なまま動いてるなんて思いもしなかったが」

「……"ゾンビ"の価値は人の役に立つ事くらいしか無いと思ってたが……嬉しいよ、シンヤ」

「そんなら、だ。元々死んでるんだったら、もっとハードなプレイをしてみたいが?」

「……良いよ……お前になら、甚振られる事すら嬉しいかも知れない」

「よっしゃキタコレ」



 今夜は長いぜ?



 * * *



 ちょっと待ってくれ。

 私は一体何をしてるんだ。


 今夜サッと狩りを済ませてしまうんじゃなかったのか、何で決戦の予定を入れてしまうんだ私は。


 クソッ、あの激しい様子がまだ脳に焼き付いてる。

 こんな時に奴も一体何をしているんだ。いつもああやって女とくっ付いてんのか。なんてヤツだ。男ってのは皆狼なのか。夜な夜な遠吠え挙げてるのかアイツは。破廉恥な。うらやまけしからん!


「チクショォ!! 調子狂わせやがってぇ!!」


 荒れ地なのもあって夜は寒いのに、宿も取ってないから適当な屋根上で過ごすしかないじゃねぇか。


「覚えてろよ神条 神鵺ぁ!! ひっ……ひっ、くしっ! んむぅ~寒い! バカァ!!」


 サッとやってしまえば気持ちが変わる事も無いかなと思ったけど、もう奴は絶対殺す。あんなモノ見せやがった神鵺には、苦痛を味わいながら死んでもらおう。私なんてまだMBすらしてないのに。


「おやすみ!」

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