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灰色と虹  作者: あやね
第一章 赤い鳥の目覚め

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06 特殊任務①

 リゼ先生の朝礼は淡々としてて気持ちいい。

 透き通った綺麗な声は気怠さを吹き飛ばしてくれるようだ。

 今日のタスクも訓練と講義か…。相変わらず変わり映えしないな。


「では本日もレイとアルドルは”特別授業”を行います。」


「は?」「え?」


 いやいやいやいやいや!ちょちょちょちょい!


 アルドルは顔面蒼白で震えている。


「アノ、センセイ。ナンデ?オレ、ナニモ、ワルイコトシテナイ。」


 心の整理がつかずカタコトになってしまった。


「問題児の性根が1回の授業で治るとは思ってないので。徹底的に分からせます。」


 察した。もう抵抗は無意味なのだと。

 オレとアルドルは訓練室へ連行された。


 _______________________


 特別授業というのは建前だ。

 レイとアルドルには私より強くなる可能性を感じている。

 であれば徹底的に教育し、強くなった彼らと戦うことで、私自身も更なる強さを手に入れられると考えた。

 押し付けられた教官任務を精一杯利用させてもらおう。


 さて、昨日と今日でやることは変わらない。

 しかし驚いたのは二人の成長速度だ。

 昨日より格段に攻撃の筋が向上している。


 アルドルは無駄な力みがなくなり、攻撃後のラグや隙が少なくなった。

 そのおかげで一連の攻撃速度が上がっている。

 まだ2対1だが、近いうちには1対1の戦いで圧倒されるようになるだろう。


 そして特にレイは凄まじかった。

 長警杖を軽々振るのも異常なのだが、攻撃、フェイント、反動を利用しトリッキーな移動など異次元の動きをしている。

 しかし妙だ。この動きなら私に攻撃を当てることは出来るだろうに。


「わざと当てないようにしているのは何故?」


「先生の美しさに傷をつけたくないので。」


「そうか。では実践中にそれが理由で死んでも文句は言えませんね。」


「そん時は死なないようにやりますよ。」


「じゃあ今やりなさい。本気でやらなければ死ぬと思いなさい。」


「…はい。」


 どうやらレイの弱点は…。


 _______________________


 訓練が終わり、二人ともボロボロだった。

 フラフラと力なく歩いて訓練室を後にする二人。

 私はレイを呼び止めた。


「レイ、待ちなさい。あなたに話があるわ。アルドルは先に教室へ戻ってよろしい。」


「…。」


 訓練室には私とレイと二人きりになった。


「レイ。君さえ良ければだけど、特殊任務を受けてみる気はないかな?」


「…は?オレはてっきり怒られるのかと思ったが?」


 レイは意外そうに目を見開いた。


「君の弱点は説教で治るのかな?

 または軽口で逃げ切れるものなのか?」


「…。」


 私は悔しいが認めることにした。

 手合わせにて理解してしまったことがある。

 それは本人も無自覚なのだろうが…。


「レイ。君は本気を出していない、出し切れていない。君がその気なら私を制圧出来ているはずだよ。」


「買いかぶりすぎだ。俺は先生に負けた。甘いとかって言われんなら、それを含めて今の俺だ。だから負けた。」


 リゼがこのような気持ちになったのは初めてだった。

 誰かに期待をするなど。

 そして単純に惜しいと感じた。

 何か理由があるのだろう。

 しかし言葉で説得するものではない。

 ここからは経験がものを言う領域だ。


「特殊任務は基本的には団員以外が担当する事は許されない。しかし私の独断で君を任務に推薦したい。メンターとして私も付き添う。もちろん報酬も出る。どうかな?」


「…報酬出るのか。…まぁ考えときますよ。」


「良い返事を期待しているよ。」


 レイはふらふらと訓練室を後にした。


 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


 俺は考えた。本気を出せない理由。

 別に本気で戦わなくても負けることは無かったから。

 でもリゼ先生と戦い、打ちのめされ、それでも本気が出せなかった。

 なんというか暴発しそうなイメージがあるからだ。

 つまり…

「扱えない力は力じゃないってことだな。つまり今のがオレの全力ってことか。」

 独り言で呟いた。


 教室に戻るとアルドルやユウイ、アカシがオレを心配そうに取り囲んだ。


「レイ!だ、大丈夫か!?」

「何の話をされたんだ!?」

「まさか…退学とか…?」


 などと口々に言ってくる。

 うるさ。


「ちげーよ。…実はな…。誰にも言うなよ…?」


 3人は息を飲み、うなずく。


「リゼ先生に『レイくん可愛いから食べちゃいたい~』って言われたんだ…!」


「「「解散ー。」」」


 あれ?みんな?もうちょっと興味もってよ。ねぇ。


「レイ、さいてー。」


 少し離れた所で聞いていた栗色の髪をした女の子がジト目でこっちを見ている。


「アイリか。なんだよ…。聞いてたのか。」


「それだけ騒いでたら、嫌でも耳に入るよ?」


 そう?うるさかった?すません。

 と心の中で軽く謝罪した。


「ねぇ、レイ。たまにはウチでごはん食べない?母さんが会いたがっててさ。」


「イリーナさんがオレに?また急だなー。」


「急じゃないよ?いつもレイの話ばっかしてるんだから。ね?お願い。」


「んじゃー行けたら行…」


「絶対来て!わかった?」


 その質問してるようで、選択肢が1つしかないような聞き方やめて。


「わかったよ。でも、ちょっと遅くなるかもだから先帰って待っててくれ。」


「そうなの?すっぽかしたりしない?」


「用事があるんだよ。絶対に行くから。約束だ。」


「分かった。約束ね。待ってるからね?」


 そう言ってオレは自分の席に戻った。

 そして放課後、オレは教官室へ行く。


 あんまりうだうだ考えるのもめんどくさい。

 こーゆー結論は直感でさっさと出すのが一番だ。


 オレは教官室に入り、リゼ先生の元へ行く。

「早いですね。もう決めたのですか?」


 普段無表情に近い先生の顔、いや目が少しキラキラと期待しているかのように見えた。


「ああ。特殊任務、受けてみます。」


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