614/615
明るい未来への光
ふと、
高田さんの隣で空を見上げながら、
葵は以前投稿していた“虹の写真”を思い出した。
あのときは、
ただ綺麗だと思って撮っただけだったのに、
意図せず結婚指輪が写り込んでしまった。
その小さな輪が、
自分を縛る鎖のように見えて、
写真を見返すたびに胸が重くなった。
でも今、
目の前にある虹は違う。
冬を越えた北海道の空に、
大きな弧を描いてゆっくり色づいていく。
高田さんの横顔も、
その隣に立つ自分の気持ちも、
どこか未来のほうへ向いている。
この虹は、
鎖じゃない。
二人の前に、
静かに道を照らす光のようだった。
風が少し冷たいのに、
胸の奥だけがじんわり温かい。
“今”を見ているのに、
“これから”の景色がそっと滲んでくる。




