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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


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葵の体温

シャッターの音が落ちる。


「確認しようか」


並んで画面を覗き込むと、

虹は綺麗に入っているのに、

二人の距離だけが妙に遠い。


「もう一枚、ちゃんと撮ろうか。構図、考えて」


葵が「はい」と答える声が、

どこか弾んで聞こえる。


もう一度並ぶ。

けれど、どうしても距離がある。


「まだ遠いな…はみ出ちゃうよ」


そう言うと、

葵が自然に寄ってきた。

自分も静かに近づく。


肩が触れるくらいの距離。


でも、その近さが、葵の体温が、

驚くほど心地よかった。


(……やっぱり、隣にいてほしいのは及川さんだな)


そう思った瞬間、

確かにトクンと胸が高鳴った。

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