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同じ虹を映す
大和の視線を追って空を見上げた瞬間、
葵は小さく息をのんだ。
「……端から端まで見えますね」
思わず声が漏れる。
薄い雲の切れ間に、
虹がゆっくりと色を帯びていく。
「きれい……」
言ったあと、
ふっと笑ってしまう。
「でも、虹ってすぐ消えちゃうんですよね。
写真、撮ってもいいですか?」
大和が軽くうなずく気配がして、
葵はスマホを取り出した。
スマホのシャッター音が、
静かな展望台に小さく響く。
横を見ると、
大和も同じようにスマホを構えていた。
無言なのに、
どこか嬉しそうで、
その姿に葵の胸がまた少し熱くなる。
何枚か撮ったあと、
大和がふっとスマホを下ろした。
「……せっかくだし」
少しだけ照れたような声で続ける。
「二人で映らない?」
その言い方があまりに自然で、
でもどこか特別で、
葵は一瞬だけ返事を忘れてしまう。
虹の下で、
二人の距離がそっと近づいていく。




