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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


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同じ空を見上げる瞬間

大和は海へ戻していた視線を、

ふと、ゆっくりと空のほうへ上げた。


葵の言葉が胸の奥にまだ残っていて、

その余韻を静かに落ち着かせるみたいな、

そんな自然な動きだった。


風が少しだけ温度を変えた。

その変化に気づいたように、

大和の目が空の一点で止まる。


「……あ」


声にならない、小さな息。


葵はその気配に気づいて、

大和の視線を追うように空を見上げた。


薄い雲の切れ間に、

淡い色がゆっくりと浮かび上がっていく。


最初は光のにじみのようだったそれが、

少しずつ輪郭を持ちはじめ、

静かに、確かに、虹になっていく。


二人は言葉を失ったまま、

同じ場所を見つめていた。


大和の横顔は、

さっきよりもさらに柔らかくて、

葵は胸の奥がじんわり熱くなる。


展望台の空気が、

ほんの少しだけ明るくなる。


まるで、

二人の時間にそっと色が差し込んだみたいに。

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