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同じ空を見上げる瞬間
大和は海へ戻していた視線を、
ふと、ゆっくりと空のほうへ上げた。
葵の言葉が胸の奥にまだ残っていて、
その余韻を静かに落ち着かせるみたいな、
そんな自然な動きだった。
風が少しだけ温度を変えた。
その変化に気づいたように、
大和の目が空の一点で止まる。
「……あ」
声にならない、小さな息。
葵はその気配に気づいて、
大和の視線を追うように空を見上げた。
薄い雲の切れ間に、
淡い色がゆっくりと浮かび上がっていく。
最初は光のにじみのようだったそれが、
少しずつ輪郭を持ちはじめ、
静かに、確かに、虹になっていく。
二人は言葉を失ったまま、
同じ場所を見つめていた。
大和の横顔は、
さっきよりもさらに柔らかくて、
葵は胸の奥がじんわり熱くなる。
展望台の空気が、
ほんの少しだけ明るくなる。
まるで、
二人の時間にそっと色が差し込んだみたいに。




