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二人で一緒に見る景色
展望台に出た瞬間、
ひんやりした空気がふっと頬に触れた。
手すりの金属は、
朝霜が溶けきらずに残っているのか、
うっすら白く曇っていて、
指先で触れると少しだけ湿り気がある。
足元の影になっている部分だけ、
アスファルトが濃い色をしていた。
日が差し始めて、
その濃い色がゆっくり乾いていく。
視界の先には、
海が静かに広がっていた。
朝の光を受けて、
水面が細かく揺れながら
銀色にきらきらと光っている。
遠くの街は明るく、
ビルのガラスが太陽を反射していた。
でも、展望台の周りだけは
まだ朝の冷えが残っているような静けさがあった。
風が吹くと、
草の先についた小さな水滴が
きらっと光る。
葵は思わず息をのむ。
大和はしばらく何も言わなかった。
ただ、
自分の好きな場所に
葵が立っているという事実を
ゆっくり確かめるように、
景色を見ていた。
手すりの冷たささえ、
今日はどこか心地よく感じる。
横を見ると、
葵が海を見つめている。
その横顔を見た瞬間、
胸の奥が静かに熱くなる。
(……連れてきてよかった)
言葉にはしない。
でも、
その沈黙の中に
大和の気持ちが全部滲んでいた。




