表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
605/615

連れてきたかった場所

二人で歩き出すと、

足音と風の音だけがしばらく続いた。


大和がポケットに手を入れながら、

ふっと前を見たまま口を開く。


「ここ、今の店を作ってて行き詰まったときに、よく来ててさ」


葵は横目でそっと大和を見る。

声は落ち着いているのに、

どこか照れが混じっている。


「なかなか東京で、ここまで見晴らせるところってないでしょ?」


白い息がふわっと流れる。

大和の歩幅は少しゆっくりで、

葵が合わせやすい速度になっている。


「だから……及川さんにも見せたいなって思ってさ」


言ったあと、

大和はほんの一瞬だけ視線を落とす。

その“照れ隠し”が大人なのに可愛い。


葵の胸が静かに熱くなる。


「……嬉しいです。そんな場所に、私も」


言葉にした瞬間、

大和が横で小さく笑う。


「うん。来てくれてよかった」


風が吹いて、

二人の白い息が同じ方向に流れる。


緊張はまだある。

でも、

歩くたびに少しずつほぐれていく。


“言葉のいらない距離”が、

ゆっくり、確かに縮まっていく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ