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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


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言葉のいらない距離

視線が重なったあと、

大和がゆっくり歩み寄ってくる。


白い息を吐きながら、

葵の上着を一度だけ確認するように見て、

ふっと笑った。


「……高台だから、やっぱり寒かったね」


その声が思ったより柔らかくて、

葵の胸が少しだけ跳ねる。


「はい。ちょっと……思ったより」


葵がそう答えると、

大和は少し肩をすくめて言う。


「チョイス間違えたかと思って焦ったよ」


その言い方が、

冗談みたいで、

でも本気で気にしていたのが分かる温度で──

葵は思わず笑ってしまう。


「大丈夫です。ちゃんと着てきました」


「そっか。よかった」


短いやり取りなのに、

二人の間の空気がふっと近づく。


風が吹いて、

二人の白い息が同じ方向に流れた。

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