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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


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約束の前に

ホテルを出て、

バスに揺られながら外の景色を眺めていると、

胸の奥がずっと落ち着かなかった。


(……まだ早いのに)


時計を見ると、

約束の11時までまだ40分以上ある。


それでも、

展望台の入口が近づくにつれて

足が自然と速くなる。


(……来ちゃった)


入口の前に立った瞬間、

胸がふわっと高鳴った。


観光客がちらほらいるだけで、

店長の姿はまだない。


(そりゃそうだよね……早すぎるし)


そう思いながらも、

どこかほっとしている自分がいた。


手袋の中で指先が少し冷えて、

店長の言葉を思い出す。


「高台だから、少し寒いかもしれない」


(……ほんとだ)


上着の襟をそっと立てて、

息を白くしながら入口の横に立つ。


胸の奥が、

静かに、でも確かに弾んでいた。

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