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星空のあとで
星空の時間が終わり、
店内の照明がゆっくり戻る。
葵がバッグを手にして席を立とうとしたとき、
大和は胸の奥に残った熱を持て余しながら、
思わず声をかけていた。
「……及川さん」
葵が振り返る。
大和は一度だけ息を整え、
言葉を選ぶように続ける。
「及川さん、
……いつまでこっちにいるの?」
「明日の夕方には戻ります」
「……そっか」
短い沈黙。
でも、その沈黙の中で大和の迷いが揺れている。
(このまま帰していいのか)
(今日、やっと……同じところに立てたのに)
大和は視線を落とし、
それからゆっくりと戻して、まっすぐに言う。
「明日……俺、オフなんだ」
葵の目が少しだけ丸くなる。
大和は続ける。
声は静かだけど、逃げていない。
「もしよかったら……
ちょっとだけでいい。
昼間、時間……もらえないかな」
葵は驚いたように瞬きをして、
それから、ふっと笑う。
「……はい」
その“はい”が、
星空よりも静かに、大和の胸に落ちた。




