表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
586/615

目が合ったとき

昼の灯-OTARU-は観光客で賑わっていた。

注文票を確認しながら、

(そろそろ来る頃か)

と胸の奥が静かにざわつく。


入口のベルが鳴いた瞬間、

顔を上げる。


(……来た)


及川さんが立っていた。

ワンピースの裾が柔らかく揺れている。

その姿を見た瞬間、胸の奥がふっと熱くなった。


(似合ってるな)


言葉にはしない。

ただ、目が一瞬だけ止まった。

自分でも気づくほどに。


“本当に来てくれた”

その実感が、静かに胸に落ちていく。


注文票を見ると、

クリームソーダ、プリンアラモード、二色のパンケーキ。

昼の人気メニューが3つも並んでいた。


(……こういう頼み方、及川さんらしいな)


思わず小さく笑ってしまう。

トレイを持ち上げる手が、

ほんの少しだけ緊張しているのがわかる。


席に近づくと、

及川さんがスイーツの写真を撮っていた。

その横顔が、前より少し大人っぽく見えた。

でも、笑ったときの目元は昔のまま。


トレイを置くと、葵が顔を上げた。

目が合う。


その一瞬で、胸の奥がふっとほどける。


「……来てくれたんだ」


予定していた言葉じゃない。

でも、それ以外が出てこなかった。


及川さんが少し驚いたように笑う。

その笑顔に、胸がまた揺れる。


「お待たせ。

夜の予約、入れてあるよ。

21時から23時まで。

22時から……プラネタリウムになるよ」


言いながら、

声が少しだけゆっくりになる。

ひとつひとつ、確かめるみたいに。


及川さんが

「嬉しいです」

と素直に言った瞬間、

胸の奥がじんわり熱くなる。


(……そんな顔、するんだ)


気づかれないように、

ほんの少しだけ目を細めて笑った。


「よかった」


その一言に、

全部が詰まっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ