表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
585/615

自分のための時間

灯-OTARU-のテーブルに並んだスイーツを見て、

葵は思わず息をのんだ。


クリームソーダの淡い色が光に透けて、

プリンアラモードのフルーツが鮮やかで、

二色のパンケーキはフォークを入れるたびにふわっと香る。


(……かわいい)


スマホを取り出して、

ひとつひとつ写真におさめる。

角度を変えて、光を拾って、

まるで宝物みたいに。


ひと口食べるたびに、

胸の奥がじんわり温かくなる。


(前回はコーヒーだけだったのに……

今日は全部、ちゃんと味わえる)


甘さに浸りながら、

ふと視線の先に大和が見えた。


カウンターの奥で、

注文を確認して、

スタッフに短く声をかけて、

また次の作業に移る。


無駄のない動きで、

でもどこか柔らかい空気をまとっていて、

忙しいはずなのに、

一つひとつを丁寧にこなしていた。


(……なんか、かっこよかったな)


働いている姿がまっすぐで、

自然と目が追ってしまう感じ。


胸の奥が、

スイーツの甘さとは違う温度でじんわり広がった。


食べ終えて店を出ると、

昼の光がふわっと頬に触れた。


(夜まで、どうしようかな)


21時の予約までは、まだ時間がある。

でも、落ち着かないほど楽しみで、

どこかそわそわしてしまう。


(運河の方、行ってみよう)


前から気になっていた

オルゴールのお店。

ガラス細工のお店。

観光地らしい賑わいと、

小樽らしい静けさが混ざる場所。


ワンピースの裾を揺らしながら、

葵は運河へ向かって歩き出した。


胸の奥には、

スイーツの甘さと、

働く大和の横顔の余韻と、

夜への期待が静かに重なっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ