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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


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近づく気配が愛おしい

胸ポケットのスマホが、

いつもより少しだけ重く感じる。


(……もう札幌は過ぎた頃か)


新千歳から小樽までは、

思っているよりずっと近い。

葵が「着きました」とDMを送ってから、

まだ一時間も経っていない。


コーヒーを淹れながら、

ふと視線が入口のほうへ向いてしまう。


(いや、まだだろ。

でも……もしかしたら)


自分で自分にツッコミを入れながら、

手元の動きだけはいつも通り。


スタッフが声をかける。


「店長、次カフェオレお願いします」


「あ、はい」


返事は落ち着いている。

でも胸の奥は落ち着かない。


(……近づいてきてるんだよな)




その事実だけで、

心がふっと温かくなる。

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