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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


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楽しみで胸が踊る

車内はほどよく空いていて、

窓の外には雪の名残がまだ少しだけ残っている。


(小樽、もうすぐだ)


ふとスマホを開いて、

「灯 OTARU 喫茶 メニュー」で検索する。


画像が並んだ瞬間、

葵の目がぱっと明るくなる。


(……わ、可愛い)


まず目に飛び込んできたのは、

淡い色のクリームソーダ。

光に透けるグラスが、写真越しでも綺麗だった。


(これ、絶対飲みたい……)


スクロールすると、

色鮮やかなプリンアラモードが出てくる。

フルーツがきれいに並んでいて、

レトロなのに今っぽい。


(これも可愛い……どうしよう)


さらに下へ進むと、

二色のパンケーキの写真が出てきた。

ふわふわで、

二色のコントラストがなんとも言えず魅力的。


(前回、コーヒーしか飲めなかったんだよね……

今回は……これと、これと……)


気づけば、

指先が止まらない。


(……全部頼みたい)


思わず小さく笑ってしまう。


大和のDMを思い出す。


“無事に着いたら一言くれたら安心する”


(安心してくれてるかな)


胸の奥がトクンと鳴る。

でも今の葵の頭の中は、

“どれを頼むか”でいっぱいだった。


(今日はちゃんと味わいたいな)


電車は静かに、

小樽へ向かって進んでいく。

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