再会を待ち望む夜
店を閉めて帰宅し、
シャワーを浴びて、
いつものように部屋の灯りを落とした。
それなのに、
胸の奥だけが妙に落ち着かない。
ベッドの端に腰を下ろし、
スマホを手に取る。
何度も見返したDMの画面が、
また目に入った。
(……明日、来るんだよな)
その事実だけで、
胸の奥がじんわりと温かくなる。
少し前までなら、
“期待するな”
“浮かれるな”
と自分に言い聞かせていた。
(……あの頃が懐かしいな)
気づけば、
そのブレーキはもう効かなくなっていた。
今はただ、
及川さんに会いたい気持ちのほうが強い。
無理に抑えようとする必要も、
もう感じなかった。
(明日……少しでも話せたらいい)
それは大きな期待じゃない。
でも、
50歳の男にとっては十分すぎるほどの願いだった。
及川さんはどんな顔で来るだろう。
緊張していないだろうか。
笑ってくれたら、それだけでいい。
そんなことを考えている自分に気づき、
思わず小さく息を吐く。
(……待ち望んでるんだな、俺)
認めた瞬間、
胸の奥がふっと軽くなった。
静かな部屋の中で、
その灯りだけが確かに揺れている。
再会を待ち望む夜。
その気持ちは、
もう隠す必要もなかった。




