再会を思い浮かべた夜
荷造りを終えて、
クローゼットの前でしばらく立ち尽くした。
(……何着て行こう)
観光じゃない。
星空を見に行くだけ。
それなのに、服を選ぶ手が妙に慎重になる。
ふと、
先週買ったばかりのワンピースが目に入った。
(新調した洋服……着ていこうかな)
誰に見せるためでもない。
そう思おうとするのに、
胸の奥が少しだけ熱くなる。
(……店長に会うから、かな)
39にもなって、
“可愛くいたい”なんて思うなんて。
若い頃みたいに気合いを入れるわけじゃない。
ただ、
あの人の前では、少しだけ綺麗でいたい。
そのくらいの温度。
(店長は……どういうつもりで誘ってくれたんだろう)
星空を見に来てほしい、って言っていた。
あれはただの案内だったのか、
それとも──
(私は……会いたかった)
星空よりも、
あの人に。
今まで会えても、
ほんの一瞬目が合うだけ。
店員と客としての、
当たり障りのない会話しかできなかった。
でも、
DMや呼応投稿では、
少しずつ距離が近づいている気がして。
(でも……それって私だけなのかな)
文字だけじゃ分からない。
声も、表情も、温度もない。
(確かめても……いいのかな)
ワンピースをそっとベッドに置く。
その布の柔らかさに触れながら、
胸の奥がまたふっと高鳴った。
(……行ってみないと分からないか)
明日、
この服を着て、
あの店の扉を開ける自分を想像する。
その姿を思い浮かべただけで、
緊張も楽しみも…
ごちゃ混ぜの感情の中、
幸せな気持ちが勝つような気がした。




