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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


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再会を思い浮かべた夜

荷造りを終えて、

クローゼットの前でしばらく立ち尽くした。


(……何着て行こう)


観光じゃない。

星空を見に行くだけ。

それなのに、服を選ぶ手が妙に慎重になる。


ふと、

先週買ったばかりのワンピースが目に入った。


(新調した洋服……着ていこうかな)


誰に見せるためでもない。

そう思おうとするのに、

胸の奥が少しだけ熱くなる。


(……店長に会うから、かな)


39にもなって、

“可愛くいたい”なんて思うなんて。

若い頃みたいに気合いを入れるわけじゃない。

ただ、

あの人の前では、少しだけ綺麗でいたい。


そのくらいの温度。


(店長は……どういうつもりで誘ってくれたんだろう)


星空を見に来てほしい、って言っていた。

あれはただの案内だったのか、

それとも──


(私は……会いたかった)


星空よりも、

あの人に。


今まで会えても、

ほんの一瞬目が合うだけ。

店員と客としての、

当たり障りのない会話しかできなかった。


でも、

DMや呼応投稿では、

少しずつ距離が近づいている気がして。


(でも……それって私だけなのかな)


文字だけじゃ分からない。

声も、表情も、温度もない。


(確かめても……いいのかな)


ワンピースをそっとベッドに置く。

その布の柔らかさに触れながら、

胸の奥がまたふっと高鳴った。


(……行ってみないと分からないか)


明日、

この服を着て、

あの店の扉を開ける自分を想像する。


その姿を思い浮かべただけで、

緊張も楽しみも…

ごちゃ混ぜの感情の中、

幸せな気持ちが勝つような気がした。

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