覚悟
帰りの電車。
吊り広告の文字がぼやけるくらい、
頭の中は店長のDMでいっぱいだった。
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水曜の完全予約制の星空、
一度見てほしいんだ。
来られる日が分かったら教えて。
こっちで予約入れておくよ。
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(……星空を、見てほしい)
その一文だけで、
胸の奥がきゅっと熱くなる。
前に弾丸で行ったときは、
連絡なんてできなかった。
“行きたい”なんて言える立場じゃないと思っていたし、
期待していると思われるのが怖かった。
でも今回は──
店長が「来られる日が分かったら」と言ってくれた。
(……ちゃんと、連絡してから行きたい)
その気持ちが、
自分でも驚くほど自然に胸の中にあった。
水曜に行くなら、泊まりになる。
木曜も休みにして、金曜も有給を取れば、
仕事に迷惑はかからない。
(そこまでして……行く?)
問いかけた瞬間、
胸の奥が静かに答えた。
(行きたい)
スマホを握りしめたまま、
何度も文を打っては消す。
“行きたいです”と書きかけて、
慌てて消す。
“行けたら行きます”は、
なんだか嘘みたいで書けなかった。
深呼吸して、
ようやく指が止まった。
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水曜の星空、ずっと気になってました。
仕事の調整をしてみます。
行けそうな日が分かったら、また連絡してもいいですか?
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送信ボタンを押した瞬間、
胸の奥がきゅっと鳴った。
(……送っちゃった)
恥ずかしさと、
少しの怖さと、
それでも消えない“行きたい”が胸の中で混ざり合う。
前みたいに衝動だけで飛び出すんじゃない。
今回は──
ちゃんと連絡してから行く。
自分でも気づいてしまった。
(覚悟が……違うんだ)
電車の窓に映る自分の顔は、
さっきより少しだけ柔らかく見えた。
そのぬくもりが
なんだか心地よく思えてきた。




