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店長の顔の裏側で
昼の行列の最後尾に、
見覚えのある横顔が見えた。
(……え?
及川さん?)
思わず足が止まった。
連絡なんて来ていない。
DMも見落としていない。
突然すぎて、頭が追いつかない。
(なんで……今日?
いや、来てくれたのか……)
でも、
メニューはほとんど終わっている。
(まずいな……
出せるもの、ほとんど残ってない)
どう言えばいいか迷ったまま、
口から出たのは、
店長としての案内に見せかけた、
自分の精一杯だった。
「……夜の整理券、もうすぐ配るから。
もし時間あれば、開店と同時ならメニューも全部揃ってるから、考えてみて」
言ってから、
胸の奥が少し熱くなった。
(……来てくれたんだ)
この店は、
期間限定とはいえ、
自分がとことん拘って作った場所だ。
メニューも、空間も、照明も、音も。
全部、自分の“好き”を詰め込んだ。
北海道で遠いし、
気軽に「来て」とは言えなかった。
だからこそ──
(そんな店に、及川さんがいるなんて……
奇跡みたいだな)
忙しさで表には出せなかったけれど、
胸の奥ではずっと、
静かに嬉しさが広がっていた。




