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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


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次はゆっくり

搭乗口の前の椅子に座って、

葵は暗い滑走路をぼんやりと眺めていた。


昼の灯。

夜の灯。

大和の横顔。

忙しそうな背中。

一瞬だけ向けられた微笑み。


胸の奥に、まだ熱が残っている。


スマホを開いて、

迷った指先が、そっと動いた。


---

今日はありがとうございました。

弾丸で伺ってしまってすみません。

昼も夜も、とても素敵でした。

また、ゆっくり伺えたらと思います。

お忙しいと思いますが、お身体に気をつけてください。

---


送信ボタンを押した瞬間、

心臓が少しだけ跳ねた。


(……送っちゃった)



飛行機に乗り、

空港から電車に揺られ、

家に着く頃には日付が変わりそうだった。


鍵を開けて部屋に入った瞬間、

スマホが震えた。


“大和”


葵は思わず息をのむ。


---

来てくれてありがとう。

昼も夜も寄ってくれて、ほんと嬉しかった。

バタバタしてて、ほとんど話せなくてごめん。

また来られるときは、ゆっくりしていって。

---


その言葉を読んだ瞬間、

葵の胸の奥がじんわりと温かくなった。


(また来ていいんだ)


(次は……ゆっくり来たいな)


バッグを床に置いたまま、

葵はしばらくその画面を見つめていた。

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