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こっそり届いた声
行列の最後尾に並んで数分。
前のほうでスタッフがざわつき、
その後ろから大和が歩いてきた。
メニューの残りを確認しに来たらしい。
忙しそうで、でも丁寧で、
見慣れた横顔。
大和は前のお客さんに説明しながら、
少しずつ最後尾へ近づいてくる。
そして──
葵の前で、ふと動きを止めた。
一瞬だけ、目が合う。
胸が跳ねる。
息が止まる。
大和は声を落として、
誰にも聞こえないように言った。
「……夜の整理券、もうすぐ配るから。
もし時間あれば、開店と同時ならメニューも全部揃ってるから、考えてみて」
唐突すぎて、
意味が追いつかない。
(……え?)
大和はそれ以上何も言わず、
すぐに店の中へ戻っていった。
(…メニューが目当てじゃないし)
(私だって気付いて言ったよね?…今)
大和の言葉足らずな感じに翻弄された葵は、
動けないまま行列に残っていた。




