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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


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こっそり届いた声

行列の最後尾に並んで数分。

前のほうでスタッフがざわつき、

その後ろから大和が歩いてきた。


メニューの残りを確認しに来たらしい。

忙しそうで、でも丁寧で、

見慣れた横顔。


大和は前のお客さんに説明しながら、

少しずつ最後尾へ近づいてくる。


そして──

葵の前で、ふと動きを止めた。


一瞬だけ、目が合う。


胸が跳ねる。

息が止まる。


大和は声を落として、

誰にも聞こえないように言った。


「……夜の整理券、もうすぐ配るから。

 もし時間あれば、開店と同時ならメニューも全部揃ってるから、考えてみて」


唐突すぎて、

意味が追いつかない。


(……え?)


大和はそれ以上何も言わず、

すぐに店の中へ戻っていった。


(…メニューが目当てじゃないし)


(私だって気付いて言ったよね?…今)


大和の言葉足らずな感じに翻弄された葵は、

動けないまま行列に残っていた。

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