564/615
弾丸で来る灯り
新千歳を出た電車は、
雪の残る線路を静かに走る。
窓の外は白と灰色の世界。
でも葵の胸の中だけは、
ずっとざわざわしている。
スマホを握ったまま、
大和とのDM画面を開いては閉じる。
(言ってない……言ってないのに)
(……来ちゃった)
声にならない声が、
吐息みたいに漏れる。
電車が札幌を過ぎると、
少しずつ海が見えてくる。
その青さに、
胸がぎゅっとなる。
(どうしよう)
(でも……会いたかった)
衝動で飛んできたのに、
今さら怖くなる。
でも、
もう戻れない。
車内アナウンスが流れる。
「まもなく──小樽」
その瞬間、
葵の心臓が跳ねる。




