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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


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画面越しの星空

デスクに戻る途中で葵のスマホが震えた。


大和からのDM。


---

店に取材が入ったよ。

放送がいつになるかは分からないけど……

一応知らせておこうと思って。

---


(……取材)


胸の奥が、少しだけ熱くなる。


忙しいはずなのに、

わざわざ知らせてくれるんだ。


(店長らしいな……)


返信を打ちながら、

どこか遠くて、どこか近い、

あの不思議な距離感を思い出す。



その日の夕方。

社内の休憩スペースに向かうと、

壁掛けのテレビがついていた。


「次の特集は、

 小樽で話題の“(あかり)-OTARU-”さんです」


(……店長が言ってた取材って、これ?)


足が止まる。


画面には、

広告で何度も見た店内。

カウンターの光。

テラスの風。

そして──大和。


氷を落とす音。

グラスの揺れ。

星空の投影。


記者の声が重なる。


「……忙しいのに、

 なんでこんなに綺麗なんですか」


大和は手を止めずに答えていた。


「綺麗に見えるのは……

 僕じゃなくて、この店とお客様が作る景色が良いんです。

 僕はただ、その中で動いているだけで」


(……店長)


胸がぎゅっと締めつけられる。


同僚が横で言った。


「うわー、素敵。人気なのもわかるね、葵ちゃん」


葵は返事ができなかった。


ただ、

画面の中の大和から目が離せなかった。


(行きたい)

(この景色を、自分の目で見たい)


その気持ちが、

静かに、でも確かに灯った。

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