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休めない大和
「大和さん、今日の午後、取材入ります!」
スタッフの声に、
大和は一瞬だけ手を止めた。
(……取材?)
仕込みの音、
テラスを抜ける秋の風、
カウンターに落ちる光。
「大和さん、いつも通りで構いません。
ご迷惑にならないように撮影しますので」
カメラが回り始めても、
大和は本当に“いつも通り”だった。
プリンの仕上がりを確認し、
パンケーキの焼き色を見て、
星空投影の角度を微調整する。
「大和さん、本当に休んでます?」
記者が笑いながら言う。
(……休んでないな)
でも、
嫌じゃなかった。
この忙しさが心地よい。
昔から、忙しいのは好きだ。
「全てにおいて、かなり拘ったので……
この忙しさは嬉しくてたまらないです」
本心だった。
記者は少し驚いたように頷き、
カメラマンに目配せした。
「……夜も、ぜひ撮影させてください。
星空の時間、見てみたいので」
大和は一瞬だけ目を瞬かせたが、
すぐに静かに頷いた。
「はい。どうぞ。
夜の灯も、見ていってください」
その声は、
疲れているはずなのに、
どこか誇らしげだった。




