大盛況
オープンと同時に、
昼の喫茶は想像を超える行列になった。
テラス席は開店5分で満席。
クリームソーダを撮る人、
プリンアラモードを並べて写真を撮る人、
二色パンケーキの焼き上がりを待つ人で、
店の前はずっとざわついていた。
「大和さん、追加のプリンお願いします!」
「大和さん、テラスの片付け手伝ってください!」
「大和さん、仕込みの確認いいですか!」
名前を呼ばれるたびに、
大和はカウンターからテラスへ、
テラスから厨房へ、
厨房からまたカウンターへと走り続けた。
休む暇は一秒もない。
夜のバーも、
開店前から列ができていた。
完全予約制の水曜日は、
予約解放から 2分で満席。
キャンセル待ちの問い合わせが止まらない。
「大和さん、ノンアルの仕込みが追いつきません!」
「大和さん、メッセージカードの補充お願いします!」
「大和さん、星空の投影テスト、もう一度だけ!」
(……すごいな)
忙しさで頭が回らない。
でも、手は止まらない。
ふとした瞬間、
ポケットの中のスマホが思い出される。
> 無理しないでくださいね。
この世界を、
自分が作ったこの灯りを、
葵に見てほしい気持ちは
消えなかった。
(……いつか、ちゃんと)
そう思いながら、
大和はまた呼ばれた方向へ走り出した。




