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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


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559/615

大盛況

オープンと同時に、

昼の喫茶は想像を超える行列になった。


テラス席は開店5分で満席。

クリームソーダを撮る人、

プリンアラモードを並べて写真を撮る人、

二色パンケーキの焼き上がりを待つ人で、

店の前はずっとざわついていた。


「大和さん、追加のプリンお願いします!」

「大和さん、テラスの片付け手伝ってください!」

「大和さん、仕込みの確認いいですか!」


名前を呼ばれるたびに、

大和はカウンターからテラスへ、

テラスから厨房へ、

厨房からまたカウンターへと走り続けた。


休む暇は一秒もない。


夜のバーも、

開店前から列ができていた。


完全予約制の水曜日は、

予約解放から 2分で満席。

キャンセル待ちの問い合わせが止まらない。


「大和さん、ノンアルの仕込みが追いつきません!」

「大和さん、メッセージカードの補充お願いします!」

「大和さん、星空の投影テスト、もう一度だけ!」


(……すごいな)


忙しさで頭が回らない。

でも、手は止まらない。


ふとした瞬間、

ポケットの中のスマホが思い出される。


> 無理しないでくださいね。


この世界を、

自分が作ったこの灯りを、

葵に見てほしい気持ちは

消えなかった。


(……いつか、ちゃんと)


そう思いながら、

大和はまた呼ばれた方向へ走り出した。

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