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社内のざわつき
昼休み。
社内がざわつき始めた。
「え、大和さん出てる!」
「本人じゃん!」
「相変わらず、かっこよすぎない?」
(……店長?)
葵は震える指でアプリを開いた。
映像が始まる。
テラスの光。
海風。
そして──
大和が、カメラを見て話している。
「灯-OTARU-。
期間限定で、小樽にオープンします」
息が止まった。
声が、
表情が、
言葉の選び方が、
全部、店長そのものだった。
「よかったら、来てください」
その一言が、
胸の奥にまっすぐ落ちてきた。
(……行きたい)
気づけば、
涙がにじんでいた。
SNSはすでに盛り上がっていた。
「本人出てきた!」
「行くしかない」
「予約取れる気がしない」
「小樽行きます」
「大和さんの声やばい」
会社でも同じ。
「葵ちゃん、行こうよ!」
「絶対行きたいよね!」
「予約取れたら奇跡だよ!」
葵は笑ってごまかしたけれど、
胸の奥はずっと熱かった。
(……店長、忙しくなるな)
でも、
その忙しさの中に、
自分の言葉が少しでも背中を押せていたら──
そう思うと、
また胸がじんわりした。




