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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


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大和が話す広告

広告代理店との打ち合わせが終わり、

大和は店内のテラスでカメラの前に立っていた。


「じゃあ、大和さん。

 最後の一本、お願いします」


(……俺が喋るのか)


最初は断った。

自分が前に出るのは得意じゃない。

灯-tokyo-のときも、

スタッフが撮った自然な姿が偶然バズっただけだ。


でも今回は違う。


灯-OTARU-は、

かなりこだわりをもって作り込んだ場所だ。


(……やるか)


深呼吸して、

カメラをまっすぐ見た。


「灯-OTARU-。

 期間限定で、小樽にオープンします」


声は落ち着いていた。

でも、胸の奥は少しだけ熱い。


「昼は喫茶。

 少しレトロで、少し新しいメニューを用意しました」


クリームソーダの泡が揺れる映像が重なる。


「夜はバー。

 水曜日は完全予約制で、

 “伝えたい言葉”をドリンクに添えてお届けします」


予約フォームの一瞬が映る。


「22時からは、星空の時間もあります。

 よかったら、来てください」


最後に、

テラスの海風が大和の髪を揺らした。


撮影が終わると、

スタッフが小さく拍手した。


「大和さん、これ絶対バズりますよ」


(……そうか)


大和は照れくさく笑った。

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