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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


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変わった大和

仕事を終えて、

いつものようにスマホを開いた。


店長からDMが届いていた。


(……今日も、近況かな)


そう思って開いた瞬間、

指が止まった。


---

今日の夜、投稿するよ。

見てもらえたら嬉しい。

---


一瞬、意味が掴めなかった。


(……教えてくれた)


胸の奥が、

ふっと温かくなる。


灯 -tokyo- の延長営業のときも、

北海道に戻るときも、

店長は何も言わなかった。


言ってほしかった。

知りたかった。

「教えてくれたら嬉しかったと思います」

そう伝えたことがある。


その言葉を、

店長は覚えていないかもしれない。


でも──

今回は、教えてくれた。


それだけで、

胸の奥がじんわり熱くなる。


---


通知が来る前に、

自分からアプリを開いていた。


(……緊張してる? 私)


自分で自分に驚きながら、

タイムラインを更新する。


“灯-Hokkaido-”


その文字が目に入った瞬間、

息が止まった。


リールをタップする。


- 柔らかい光が落ちるカウンター

- テラスの手すりをかすめる風

- グラスの影

- まだ名前のないカクテルの揺れ

- 天井に一瞬だけ流れる星の光


場所は分からない。

でも、

“灯”の空気が確かにそこにあった。


(……店長だ)


言葉にしなくても分かる。

この光、この温度、この静けさ。

全部、店長の仕事の仕方だ。


胸の奥が、

きゅっとなる。


(教えてくれた……)


それが嬉しくて、

少しだけ苦しくて、

でもやっぱり嬉しい。


画面を閉じられないまま、

葵はしばらく、

光の揺れを見つめていた。


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