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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


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イメージの整え

カウンターにノートPCを開き、

大和は“完全予約制の夜”の詳細を詰めていた。


(水曜、17時から24時……)


金曜は違う。

土曜も違う。

ふらっと来たい人のために、

週末は開けておきたい。


水曜なら、

静かに過ごしたい人が多い。

自分自身も、昔から水曜の夜は落ち着く。


(22時から23時は……プラネタリウム)


照明を落とし、

天井に星を流す一時間。


誰かの言葉が、

そっと光に照らされるような時間にしたい。


---


予約フォームの項目を打ち込みながら、

大和は指を止めた。


- 名前

- 人数

- アレルギーの有無

- ノンアル希望かどうか


ここまではすぐに決まった。


問題は、

“メッセージカード”の欄だ。


(……入れるか)


ふわっと考えていたアイデア。

でも、形にするのは初めてだ。


「カードに込めたいメッセージがあれば、ご記入ください。」


そう入力してみる。


(強制じゃない。

 書きたい人だけでいい)


書かれたメッセージは、

その人のための一杯と一緒に出す。


言葉を飲み込んでしまう誰かが、

少しだけ前に進めるように。


(……でも、これでいいのか?)


フォームのデザインが決まらない。

メニューも未完成。

照明もまだ仮設。

プラネタリウム演出もテストできていない。


やることが多すぎて、

頭の中が少しだけ重くなる。


(時間は……まだある)


焦る必要はない。


それでも、

形にしなきゃいけないものが増えていく。


(……一度、風に当たろう)


大和はPCを閉じ、

上着を手に取った。

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