期待してしまう
大和のスマホが光っている。
葵からの返信だ。
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とんぼ返りだったんですね。
それは大変でしたね……お疲れさまです。
気を遣わせちゃいそうって思ってくれたのは、
なんとなく分かります。
でも、教えてくれたら……
たぶん、嬉しかったと思います。
忙しい中、返してくれてありがとうございます。
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読み終えた瞬間、
胸の奥が、ふっと揺れた。
(……“嬉しかったと思います”って、なんだ)
言葉は丁寧で、
大人で、
責めているわけでもない。
でもその一行だけ、
ほんの少しだけ温度が違った。
(……期待してる、ってことなのか?)
いや、そんなはずはない。
別にそういう関係じゃない。
たまにDMをするだけで。
でも──
ギムレットの写真を見たときの胸のざわつき。
あの言いようのない感情。
そして今、
“嬉しかったと思います”
という言葉に、
こんなにも心が動いている自分。
(……俺、何を期待してるんだ)
自分で自分に苦笑する。
けれど、
その苦笑の奥にある感情は、
否定しきれなかった。
大和はスマホを握り直し、
画面を見つめたまま、
しばらく動けなかった。
(……返さないと、だよな)
でも、
どう返せばいいのか分からない。
“嬉しかったと思います”
その一言が、
頭の中で何度も反芻される。
大和はゆっくり息を吐き、
胸の奥の揺れを落ち着かせようとした。
(……落ち着け)
そう言い聞かせても、
震える指先で返信を打った。
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正直嬉しいよ。
ありがとう。
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