葵の本音が漏れる
休憩室の隅。
葵はスマホを開き、
大和からの通知に気づいた。
(返ってきた……)
胸が少しだけ跳ねる。
でも、落ち着け、と自分に言い聞かせながらDMを開いた。
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実は、本社から当日に連絡があって。
少しだけ顔を出してほしいって言われて、
昼の便で行って、そのまま最終便で戻ったんだ。
本当にとんぼ返りだったよ。
言えばよかったんだけど……
時間が読めなかったし、
及川さんも仕事だっただろうから、
気を遣わせちゃいそうで。
返事遅くなってごめん。
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(……え、長い)
思わず声が漏れた。
大和のDMはいつも短い。
必要なことだけ、簡潔に。
それが大和らしさだと思っていた。
なのに今日は、
珍しく、ちゃんと説明してくれている。
(……気を遣わせちゃいそうで、って)
そこを読んだ瞬間、
胸の奥がふっと温かくなった。
言ってくれなかった寂しさはある。
でも、
“言わなかった理由”がちゃんとあって、
しかもそれが
自分への気遣いだった
と知ってしまったら──
(……ずるいなぁ)
いじけていた気持ちが、
少しだけ溶けていく。
でも、全部は溶けない。
ちょっとだけ、まだ拗ねていたい。
葵はスマホを持ち直し、
ゆっくりと文字を打ち始めた。
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とんぼ返りだったんですね。
それは大変でしたね……お疲れさまです。
気を遣わせちゃいそうって思ってくれたのは、
なんとなく分かります。
でも、教えてくれたら……
たぶん、嬉しかったと思います。
忙しい中、返してくれてありがとうございます。
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送信ボタンを押す前、
葵は一度だけ深呼吸した。
(……伝わるかな)
ほんの少しの寂しさと、
ほんの少しの嬉しさと、
ほんの少しの期待。
全部を混ぜたような気持ちで、
そっと送信した。




