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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


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灯-tokyo- 最終日

仕事を終えて、電車に揺られながら、

なんとなくスマホを開いた。


SNSのタイムラインに、

見慣れたロゴがふっと流れてくる。


「灯 -tokyo- 延長期間終了のお知らせ」


その一文を見た瞬間、

胸の奥がきゅっと縮まった。


(……今日、最終日だったんだ)


知らなかった。

知っていたら、仕事の合間にでも顔を出したのに。


投稿をタップすると、

スタッフたちの集合写真が表示された。


その端に──

見覚えのある横顔が写っていた。


大和だった。


(……来てたんだ)


思わず息が止まる。


延長期間中はずっと不在だったはずなのに。

北海道に戻って、もう東京にはいないと思っていたのに。


なのに、

最終日だけ、ひっそりと顔を出していた。


(……教えてくれればいいのに)


胸の奥がじんわり熱くなる。


言ってくれたら、

どんなに遅くなっても駆けつけたのに。


でも──

店長は言わない人だ。


昔から、

期待させるようなことはしない。

余計なことも言わない。

優しさを見せるときほど、黙ってしまう。


(なんで……言わなかったんだろう)


問いは浮かぶのに、

答えはどこにもない。


写真の中の大和は、

スタッフに囲まれて、少し照れたように笑っていた。


その笑顔を見て、

胸の奥がまたきゅっとなる。


(……ちょっとだけ、近づけたと思ったのにな)


このあいだのDM。

あの“しみじみ”という言葉。

18年前の記憶がふっと重なった瞬間。


あれは、

私だけの勘違いだったのかな。


電車の窓に映る自分の顔は、

少しだけ寂しそうで、

でもどこか温かかった。


(……会いたかったな)


小さくつぶやいて、

スマホをそっと閉じた。

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