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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


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楽しい時間

大和の

「及川さんとお酒の話ができるようになるとはね、しみじみしちゃうね。」

を読み終えた瞬間、

葵は思わずスマホを両手で覆った。


(……しみじみって……

 そんな言い方されたら……)


胸の奥がじわっと熱くなる。

でも、ふと気づく。


(……18年前、私、未成年だったんだよね)


大和の中の“葵”が、

19歳のままで止まっている気がして。


(いやいやいや……今37……!)


ベッドの上で、

思わず足をバタバタさせる。


(……落ち着いて返す。普通に、普通に)


深呼吸して、指を動かす。


---


「しみじみって……なんだか不思議ですね。

 でも、こうしてお話できて嬉しいです。


 ただ……あのときの記憶で止まってませんか?

 私、もう37なんですよ。

 未成年じゃないですからね……一応。」


---


送信した瞬間、

葵は枕に顔を埋めた。


(……言っちゃった……!)


でも、

胸の奥は少しだけ軽くなっていた。


---


葵のDMを読んだ大和は、

思わず目を瞬いた。


(……37……)


もちろん知っている。

でも、

“19歳の葵”の記憶が強すぎて、

どうしてもそこに引っ張られてしまう。


(……止まってる、か)


図星だった。


そして、

葵の“焦り”が可愛くて、

胸の奥がふっと緩む。


大和は指を動かした。


---


「いや、俺もう48なんですけど。

 お互い、だいぶ大人になってるよ。」


---


送信したあと、

大和は小さく息を吐いた。


(……なんだこれ。

 こんな話、する日が来るとはな)


夜の静けさの中で、

二人の時間だけがゆっくりと巻き戻り、

そして前に進んでいた。

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