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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


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テンポよく始まるラリー

スマホが震えた瞬間、

葵は反射的に画面を開いた。


“返信があります”


その一文だけで、

胸がぎゅっとなる。


(……きた)


指先が少し震える。

深呼吸してから、

そっとDMを開いた。


---


「飲んだことないよ。

 あれ、甘いだろ。

 俺が飲んだら倒れるかもしれない。


 でも、及川さんがオススメするなら……

 飲んでみようかな。


 ……いや、やっぱり無理かも。」


---


読み終えた瞬間、

葵は声を出さないように口を押さえた。


(……かわいい……)


“倒れるかもしれない”でクスッ。

“オススメするなら”で胸がぎゅっ。

“無理かも”でまた笑う。


(なにこれ……かわいい……)


ベッドの上で、

足をばたばたさせてしまう。


でも、

文章には出さない。


夜だから、

少しだけ素直になれるけど、

砕けるのはまだ早い。


(……落ち着いて、普通に返す)


深呼吸して、

指を動かす。


---


「倒れるほどなんですね。

 じゃあ無理しないでください。

 甘いお酒って、好き嫌い分かれますよね。

 店長は普段どんなお酒飲むんですか?」


---


送信ボタンを押したあと、

葵はスマホを胸に抱えた。


(……返ってくるかな)


でも、

夜の静けさの中で、

胸の奥はずっと温かかった。

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