表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
513/615

遠い人を想う

北海道の夜は、

東京よりずっと静かだった。


新店舗の準備で散らかったカウンターを片付けながら、

大和はふとスマホを開いた。


通知は来ていない。

でも、癖のように

葵のアカウントを開いてしまう。


スクロールした指が止まった。


薄い緑色の光を宿したグラス。

ギムレット。


言葉も、

ハッシュタグもない。


写真だけ。


(……飲んだんだ)


胸の奥が、

小さく沈む。


ギムレットのカクテル言葉を知っている。

“遠い人を想う”。


葵が意味を知っているとは思わない。

ただ、

それでも──

胸がざわついた。


(なんで……)


言葉にならない感情が、

喉の奥に引っかかる。


東京の店に来たんだな。


でも、

会えなかった。


間に合わなかった。


(……言えばよかったのかな)


延長のことも、

北海道に来ることも。


でも言えなかった。

言ったら、

期待してしまいそうで。


期待して、

裏切られるのが怖かった。


画面の中のギムレットを見つめながら、

大和は小さく息を吐いた。


(……きれいに撮るんだな)


そう呟いた声は、

少しだけ寂しそうだった。


画面を閉じても、

薄い緑色の光が

目の奥に残っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ