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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


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お酒が残る朝

朝、目が覚めた瞬間、

頭の奥がじんわり重かった。


(……飲みすぎた)


でも、それ以上に胸の奥が重い。


スマホを手に取ると、

昨夜投稿したギムレットの写真が

タイムラインの上のほうに残っていた。


(……なんで投稿したんだろ)


自分でもよく分からない。

勢いだった気もするし、

何かにすがりたかった気もする。


ベッドの上で、

ぼんやり天井を見つめながら思う。


(なんで……何も言ってくれなかったんだろ)


延長のことも、

北海道に行くことも、

何も。


(ちょっと……いい感じじゃなかったですかぁ……)


自分で言って、

自分で恥ずかしくなる。


(……はぁ)


キッチンに向かいながら、

ふてくされたように髪をかき上げる。


テレビをつけると、

朝のニュースが流れていた。


「北海道は今日も気温が低く──」


その言葉に、

胸がちくりとした。


(……遠いよ)


マグカップを置く音が、

いつもより強く響いた。


(北海道なんて……遠すぎるよ)


言いながら、

自分でも分かっていた。


“遠い”と言いながら、

心はずっとその方向を向いている。


(……やだな、こういうの)


ため息をひとつ落として、

コートを羽織る。


外に出ると、

冷たい風が頬を撫でた。


その冷たさが、

なぜか北海道の空気を思い出させた。


(……ほんと、遠い)


でも、

その“遠さ”を考えてしまう自分が

いちばん厄介だった。

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