お酒が残る朝
朝、目が覚めた瞬間、
頭の奥がじんわり重かった。
(……飲みすぎた)
でも、それ以上に胸の奥が重い。
スマホを手に取ると、
昨夜投稿したギムレットの写真が
タイムラインの上のほうに残っていた。
(……なんで投稿したんだろ)
自分でもよく分からない。
勢いだった気もするし、
何かにすがりたかった気もする。
ベッドの上で、
ぼんやり天井を見つめながら思う。
(なんで……何も言ってくれなかったんだろ)
延長のことも、
北海道に行くことも、
何も。
(ちょっと……いい感じじゃなかったですかぁ……)
自分で言って、
自分で恥ずかしくなる。
(……はぁ)
キッチンに向かいながら、
ふてくされたように髪をかき上げる。
テレビをつけると、
朝のニュースが流れていた。
「北海道は今日も気温が低く──」
その言葉に、
胸がちくりとした。
(……遠いよ)
マグカップを置く音が、
いつもより強く響いた。
(北海道なんて……遠すぎるよ)
言いながら、
自分でも分かっていた。
“遠い”と言いながら、
心はずっとその方向を向いている。
(……やだな、こういうの)
ため息をひとつ落として、
コートを羽織る。
外に出ると、
冷たい風が頬を撫でた。
その冷たさが、
なぜか北海道の空気を思い出させた。
(……ほんと、遠い)
でも、
その“遠さ”を考えてしまう自分が
いちばん厄介だった。




