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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


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届かない灯り

「夜の灯 -tokyo-」

期間限定出店、残り三日。


SNSのタイムラインは、

その話題で埋め尽くされていた。


> 「最終日も満席らしい」

> 「整理券、朝の時点で終了」

> 「今日も行列すごい」


(……今日こそ、と思ったのに)


仕事を終えて急いで向かったけれど、

店の前には長い列。

スタッフが申し訳なさそうに頭を下げる。


「すみません、本日はもう……」


(……そうだよね)


分かっていた。

でも、諦められなかった。


だって──

伝えたい気持ちができたから。


キール。

「あなたに出会えて良かった」


その言葉を知ったとき、

胸が熱くなった。


(もっと話したい)

(もっと知りたい)

(もっと近づきたい)


好きだから。

会えたことが嬉しかったから。


でも、

その気持ちを伝える場所に入れない。


店の灯りが、

遠くて、眩しくて、

手が届かない。


(……このまま終わっちゃうのかな)


期間限定の文字が、

胸に重くのしかかる。


帰り道、

スマホの画面に映るキールの写真を

そっと指でなぞった。


(次こそ、伝えたいのに)


でも、

その“次”がいつ来るのか分からない。

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