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大和が選ぶ次のカクテル言葉
店内は今日も戦場だった。
グラスを洗う音、
シェイカーのリズム、
スタッフの声。
(……ありがたいな)
忙しい。
でも忙しいのが嬉しい。
この業態を企画したとき、
ここまで盛り上がるとは思っていなかった。
(次は……どこに出店しようか)
未来の構想が、
次々と頭に浮かぶ。
そんな中、
ふとグラスホッパーを思い出す。
(……幸せ、か)
あの一杯が胸に残っている。
次は、
どんな気持ちを返せばいいだろう。
カウンター下の棚に置いてある
“カクテル言葉の本”を、
忙しい合間に手に取る。
ページをめくると、
目に飛び込んできた。
キール。
『最高のめぐり逢い』。
(……これだ)
胸の奥が、
静かに熱くなる。
(次は、これを置こう)
そう決めた瞬間、
外の行列が目に入った。
(……今日も入れないかもしれないな)
胸が少しだけ痛む。
でも、
気持ちはもう決まっていた。
(次に来てくれたら、
この一杯を置こう)
忙しさの中で、
その決意だけが静かに灯っていた。




