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大盛況でお店に入れなくなる
夜の灯 -tokyo- の前に着いた瞬間、
胸の奥がすっと冷えた。
店の前には、
見たことのないほどの行列。
「本日の整理券は終了しました」
立て札が風に揺れている。
(……やっぱり、今日も入れないんだ)
グラスホッパーを頼んだあの夜から、
ずっと考えていた。
次は何を伝えよう。
どんな気持ちを一杯に込めよう。
そして見つけたのが──
キール。
意味は『あなたに出会えて良かった』。
(……これだ)
そう思った瞬間、
胸が熱くなった。
でも、
その気持ちを伝える場所に、
今日も入れない。
行列の最後尾に並んでみる。
でもスタッフが申し訳なさそうに言う。
「すみません、今日はもう……」
(……そうだよね)
分かっていた。
分かっていたのに、
足は勝手にここまで来てしまった。
店の中から聞こえる賑やかな声。
黒シャツの大和の姿は見えない。
(……顔を見たいのに)
(伝えたいのに)
胸の奥が、
じんわりと痛む。
帰り道、
スマホの画面に映る“キール”の写真を見つめる。
(次こそ、これを伝えたい)
でも、
いつ店に入れるか分からない。
それでも、
気持ちだけは前に進んでいた。




