↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
490/615

大和が出したカクテル

葵は席に座り、

メニューを開くでもなく、

ただカウンターの木目を見つめていた。


言葉が出ないのは、

大和も同じだった。


18年ぶりに向かい合って、

何を言えばいいのか分からない。

でも、

何も言わなくても伝わるものがある気がした。


沈黙が、

不思議と苦しくなかった。


やがて、

葵が小さく息を吸った。


「……私、あまりカクテル詳しくないので」

「おすすめをください」


その声を聞いた瞬間、

胸の奥がきゅっと締まった。


大和は静かにシェイカーを取り、

手を動かし始めた。


ブランデー。

オレンジジュース。

オレンジキュラソー。


18年前には作れなかった一杯。

今の自分だから作れる一杯。


そして──

彼女にだけ出したい一杯。


シェイクの音が、

店内の静けさに溶けていく。


大和はグラスに注ぎ、

そっと目の前に置いた。


「……オリンピックです」


それだけ言った。


意味は言わない。

言えない。

言ってはいけない。


ただ、

彼女がこの一杯をどう受け取るのか──

それだけを静かに見守った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。