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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


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488/615

18年ぶりの及川さんの表情

オープン当日、昼のピークが落ち着き、

スイーツの仕上げに集中していたときだった。


ふと顔を上げた瞬間──

視界の端に、見覚えのある横顔が入った。


(……え)


手が止まった。


そこにいたのは、

及川さんだった。


18年ぶり。

でも、一瞬で分かった。


SNSで自分の姿は見られている。

けれど大和は、

彼女の“今”を知らなかった。


記憶の中の及川さんは、

真面目で、

強がりで、

でも実は弱い自分を見せるのが苦手な、

不器用な頑張り屋さんだった。


19歳のあの頃、

泣きそうなのに笑って、

平気なふりをして、

それでも誰よりも一生懸命だった。


その面影が、

目の前の女性の中に確かに残っていた。


大人になって、

落ち着いた雰囲気をまとって、

でもどこか変わらない空気を持っていた。


(……及川さんだ)


胸の奥が静かに熱くなる。


目が合った。

ほんの一瞬。

でも確かに、

彼女の瞳がこちらを捉えた。


大和はすぐに視線を戻し、

仕事に集中するふりをした。


(……気づかれたかもしれない)


でも、それでもよかった。

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