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18年ぶりの及川さんの表情
オープン当日、昼のピークが落ち着き、
スイーツの仕上げに集中していたときだった。
ふと顔を上げた瞬間──
視界の端に、見覚えのある横顔が入った。
(……え)
手が止まった。
そこにいたのは、
及川さんだった。
18年ぶり。
でも、一瞬で分かった。
SNSで自分の姿は見られている。
けれど大和は、
彼女の“今”を知らなかった。
記憶の中の及川さんは、
真面目で、
強がりで、
でも実は弱い自分を見せるのが苦手な、
不器用な頑張り屋さんだった。
19歳のあの頃、
泣きそうなのに笑って、
平気なふりをして、
それでも誰よりも一生懸命だった。
その面影が、
目の前の女性の中に確かに残っていた。
大人になって、
落ち着いた雰囲気をまとって、
でもどこか変わらない空気を持っていた。
(……及川さんだ)
胸の奥が静かに熱くなる。
目が合った。
ほんの一瞬。
でも確かに、
彼女の瞳がこちらを捉えた。
大和はすぐに視線を戻し、
仕事に集中するふりをした。
(……気づかれたかもしれない)
でも、それでもよかった。




